オールビジネスニッポン書き起こし「仕事とトラブル」

*FMラジオ番組「坂口孝則と牧野直哉のオールビジネスニッポン」書き起こしです。よかったら、PODCASTをご登録お願いします! ここからどうぞ

坂口:今日のテーマは「仕事とトラブル」です。これね、もうね、仕事している以上、トラブルは避けられない訳ですが、ちなみにこれを収録してるのは6月なんですけれど、僕ね、毎年6月になると思い出す話がありましてね。昔ロシアのタトゥーっていう二人組いたの知ってます?

牧野:はい。覚えてますよ。

坂口:あれが、あの某テレビ朝日の歌番組に出てたんですね。敢えて名前は言いませんがタモリさんが司会してる番組に出てて、何と本番ギリギリでドタキャンするっていうトラブルだったですよね。これはね、もう若い頃俺が見ててこうすごいなと思って。

ミッシェルガンエレファントが、その一つ前に出ていたんです。どうやらミッシェルガンエレファントはトリだったはずらしいですけど、順番変わってるじゃないですかみたいな話をMCでやってたんですよ、コメントでね。若い俺にも「絶対これタトゥーがドタキャンしてるんだ」と分かったんですね。

これどうなるだろうな、と思ったらまさかのミッシェルガンエレファントが歌い終わってCMを開けたらタモリさんが、「まあどうしようもないからミッシェルガンエレファントにもう一曲やってもらいましょうって」言って、もう一曲やったんですよ。

これも度肝抜かれて、何のリハもやってないですよ、ミッシェルガンエレファントが。最高の演奏だったんです。でね、あれを聞いてた10代、20代のロックキッズは、もうそれだけでね、もうミッシェルガンエレファントに魅せられてしまって。これすごいなと。

トラブルをものともせずに、自分たちのなんかいい方向にこう使うっていうのは、ほら「逆境を乗り越える」って言葉はあっても、なかなか「逆境を利用する」って言葉で聞かないと思うんですよね。でね、そこから僕はトラブルの時にいかにしてバックアップする方法があるのかっていうのを考えています。

ちょっと全然話が違うんですよね。ある住宅メーカー、長野県にある住宅メーカーなんですけど、新聞に折込チラシを入れるたびに、かなり放送では言えないギリギリの言葉を使っていたもんですから、かなりの反応があったんです。

長野県の工務店としては相当な地位に上り詰めたんですが、ある時に新聞社に対して、周りの工務店が「あそこは表現上ちょっと悪いことをしてるからね。あのチラシを新聞社が入れ続けるだったら、うちらは全員チラシを出しませんと。もうこれ以上お金払いませんと。違う新聞社に出します」って言ったんで、その新聞社はもう困り果てて、その工務店に「もう、ごめんなさい」と。「うちも新聞社っていう建前上、あと一回だけで広告出すのやめてください」って言ったらしいですね。

そしたらその工務店はなんと、「ええっあと一回だせるんですか」って言って、最後に出したチラシがなんとですね、「同業他社の妨害により、あと一回しか出せなくなりました。」っていうチラシ打ったんですよ、やっぱこれがまた大ヒットして。

でね、いや通常だったらトラブルって悲しむべき対象なんですけど、これはね、すげえなと思ったんですね。

さてこれからちょっと僕の失敗談にいきたいんですけどね。トラブル談なんですけど、私も牧野さんも、基本的にはコンサルティングって仕事をしている訳です。

二、三割ぐらいの売り上げは、どっかで人と話したりだとか、あるいは人前で話したりだとか、あるいは研修とかをやる訳ですけど。忘れもしない、ある霞が関の役所ですね。役所で研修する機会があったんですよ。研修って30分前につけば大丈夫ですよね。30分前についたんですよ。着いて、今日すごいたくさん人がいるな、みたいな。

僕いつもテキストは印刷をお願いしてるんですけど、印刷物を見たらなんとですよ、その日の資料じゃないやつが印刷されたんですよ。

牧野:ありえないね、それ。

坂口:これびっくりしますよね。僕がある業者に渡して、その業者が人数分を印刷しておきます。それは誰も疑いませんよ。当日行ったら全く違う資料が200人分印刷されて、机の上にのってたんですよ。これは困ったなって。困ったなと。今日話す内容全然違うじゃんと思いながらも、あのね、僕ね、何とか、さもその資料が本番の資料であるかのように話し抜きましたもんね。

牧野:すごいね。そのテーマっていうのはその類似性というか、やっぱりかぶるところはあったんですか?

坂口:無かったでんすよね。

牧野:それがすごいね。

坂口:なかったけど、「まずこれを知ることが第一歩だ」ってことをいって、これはもうなんとかやり切るしかないと思ってやりましたけど、もうその業者からはね。めちゃくちゃ感謝されましたね。めちゃくちゃもなにも、こんなに印刷完全に間違ってたのに何の表情一つ変えず説明しましたから。

とはいえ、私に本当に取り返しのつかないトラブルもありまして。例えば会社の社員さんを集めて講演したりする時に、「こんにちは」とか「おはようございます」とか「皆さんご安全に」とか言って、その次に例えばこれはFM世田谷なんで「FM世田谷の皆さんこんにちは。」とか言うじゃないですか。300人ぐらい聞いてた時かな?堂々とその会社の名前間違えたんですよね。その翌日に講演する会社の頭しかなくて。

牧野:なんかそれ、分かる気がするな。

坂口:ね。あるS社だったんですけど、何かK社の名前言ってしまったんですね。でね、さらに最悪なのが、そのS社とK社はライバル会社なんですよ。これはもう取り返しがつきませんでね、60分間ね、全てのギャグが滑ったっていうことがありました。

牧野:そこは笑いにならなかったんですね。

坂口:ならなかったですね。こんなミスもありますよ、って担当者の人が言ってくれたんですけど、その担当者の目が笑っていないことに僕が気づきましたね。トラブルって何かあります?

牧野:私もその研修とかをしている中で、研修の窓口になってた人とはこの内容でいいよっていう風に進めたんだけど、進めてすぐ俺たちが聞きたいのはこんなことのないようじゃないっていうことを言われたっていうのは、いやもう本当どうしようと思ったことはありますけど、でもやっぱり元々の資料にちょっとやっぱりこう話しを足したりとかっていうとやっぱり何とか乗り切ったっていうこともありました。

坂口:いかにもぶった切るのが重要ですよね。それこそ失敗をね、スーパーマンっていうアメコミがあるじゃないですか。スーパーマンのアメコミで脚本家がある時、クビになろうとしてたんですね。つまんないから。その脚本家は最後の話で何書いたかというと、その次に誰が書いても絶対スーパーマンが救いようがないような絶望的な状況において、次の人に渡したらしいですね。そしたらあまりにも救いようがないので、その脚本家のクビが繋がったんですね。面白いことにその絶望的な状況がなぜか解決した瞬間から話が始まってる。

牧野:ハッハッハッハッ(笑)それ面白いね。

坂口:そのトラブルをトラブルと思わないこの姿勢はすごいなと思いまして。トラブルと同時に鈍感力も我々は身につけないといけないなと思いまして、そこで一曲お送りしたいですが、私がミッシェルガンエレファントで衝撃を受けた、タトゥーのドタキャンの時にこう演奏した曲をちょっとかけてみたいと思います。ミッシェルガンエレファントで『ミッドナイト・クラクション・ベイビー』です。

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