【希望と絶望】これからの調達とサプライチェーン
日本人が自殺する原因は人間関係、健康問題、経済問題です。最新のデータによると、経済問題で年間4000人を超える人たちが自殺しています。新型コロナウィルスで事業が不振になり、新たな肺炎がもたらす死者よりも、経済苦を原因とした死者が上回る可能性があります。
なお、新型ではない、これまでの肺炎での年間死者は12万人であり、一日あたり、300人ほどが死亡していることになります。かつて、人類を襲ったのは貧困と飢餓でした。しかし、いまでは日本の餓死者数は年に10人ほどです。その代わりに、栄養が過多となって糖尿病を起因とする死者数は年間1万3000人にいたります。
この皮肉。
調達関係者の多くは会社員でしょうから、給料や賞与が減ることはあっても、突然、路頭に迷うことは少ないかもしれません。でも、みなさんが接する取引先のうち、中小零細企業は大変な状況が襲っているはずです(なお、取引先救済の意味でも、行政の支援策を知っておく価値があると思いますので、先週に引き続いて、また窓口や制度一覧を貼っておきます)。
従業員100人くらいの中小企業で、経常利益が1000万円も出ていない企業はいくらでもあります。従業員の給与を月1万円あげたら、もう赤字です。運転資金も1ヶ月分くらいしか持っていない。売上が落ち込んだら、それだけで死活問題です。
しかし、希望もあります。それは新型コロナウィルスがいつかは「終わる」ことです。それがいつになるかは不明です。しかし、いつかは「終わり」ます。
いまこそ、業務プロセスの見直しをしたり、組織の見直しをしたり、ムダな業務の洗い出しをするべきです。これまでズルズルと生産見込数量を盲信して調達品在庫を積み増してきた企業がたくさんあります。多くは売上と利益しか見ておらず、調達関係者がキャッシュの増減を気にすることはありませんでした。これを機会に部門でキャッシュフローの勉強などしたらどうでしょう。また、平時にはできなかった、業務のデジタル化(デジタルフォーメーション)もさまざまトライできるはずです。
さらに一般的には部材も人材も、不景気のときには「安く」買えます。
怖がりすぎと、怖がらなさすぎ、は簡単です。でも、適度に怖れるのは難しい。約100年前のスペイン風邪と、新型コロナウィルスを比較するひとがいます。スペイン風邪は、終結したと思われたあと、数カ月後に再び流行しました。さらに、終結したと思ったあとに、再燃しました。
何が正しいかは事後にしかわかりません。ただ、できるだけ論理的に行動したいと思います。
中小企業の相談窓口一覧
https://www.meti.go.jp/covid-19/sodan_madoguchi.html
中小企業の保証制度
https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200228001/20200228001-1.pdf
雇用調整助成金の特例
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09477.html
時間外労働等改善助成金の特例
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000602479.pdf
新型コロナ感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
(「サプライチェーンの毀損等にも対応」という箇所だけでもお読みください)