調達で大切なことは、すべてロックから教わった

かつてヴァンヘイレンというハードロックバンドがいました。正確にはまだ健在です。そのバンドはデイビッド・リー・ロスがボーカルを務めていました。ヴァンヘイレンは各地をツアーするときに、ものすごく分厚い条件書を出していました。ステージの作り方とか、照明など、ありとあらゆることを、地方で巡業を仕切るプロモーターに伝えていたのです。その厚さは相当なものだったようです。

面白いのは(あるいは凄すぎるのは)、そのなかに「楽屋にマーブルチョコレートを用意せよ。そして、そのなかに茶色が混ざっていてはならない」と添えていたことです。実際に、茶色が混じっていれば、演奏は行わずに、損害賠償請求を行うといった過激な内容でした。デイビッド・リー・ロスは、かならず楽屋をチェックし、茶色のチョコが混じっていないかを確認したそうです。もし、茶色があったら? 大暴れしていたんだそうですよ。

しかし、このことが、なぜ「調達で大切なことは、すべてロックから教わった」といえるのか。単にロックスターの武勇伝ではないのか。いいえ、実は、契約に関して、なかなか考えさせられる「意図」をもっていたのです。それは何だったのか……、もう大切なことを後半に書きました。

では、なぜ「楽屋にマーブルチョコレートを用意せよ。そして、そのなかに茶色が混ざっていてはならない」と書いたのか。それは、担当者がちゃんと契約書を読んでいるか、一点を使って確認するためだったのです。つまり、茶色が混じっていれば、契約書をおそらくちゃんと読んでいません。それが、茶色のチョコだけでわかるのです。これはヴァンヘイレンの発見でした。

というのも、ステージは、晴れの舞台でありながら危険を伴います。火薬を使ったり、あるいは舞台装置を使ったり。ヘタをすると、一大事に発展します。命をかけている勝負なのに、ステージ設立側が把握していないのは話になりません。メンバーのわがままのためではなく、全員のために、「楽屋にマーブルチョコレートを用意せよ。そして、そのなかに茶色が混ざっていてはならない」の文言はあったのです。

これはかなり示唆的でした。ということは、みなさんもサプライヤへの契約書のなかに、一つくらい紛れ込ませたらどうでしょうか? たとえば、見積り書を入れる袋は赤色にすべし、とか。部長へのアポ時は菓子折りをもってくること、とかね。いや、それは冗談なのですが、大量の資料を、誰かに読ませるときには、一つのダミーを使えば解決するのを紹介したかったのです。

なによりも、けっこう洒脱な工夫ではないか、と私は思います。私も、セミナー会社に100ページくらいの資料を送るときに、ひとつヘンテコな文章を入れておこうかしら。これまた冗談です。ただ、読ませる工夫をヴァンヘイレンはやってきたのであり、その工夫には拍手を送りたいと思います。何か他のネタでも、面白い話があったらご紹介します。

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