サプライヤの社長と確実に話を盛り上げる方法
私を含め、調達・購買担当者の多くは、自分より目上の方々と接する機会が多いはずです。ときに、社長や役員と触れ合う機会もあるでしょう。そんなとき、どう会話しますか。20代の調達・購買担当者と、70代の社長が話すとき、さすがにAKBの話はしないでしょうし、また天気の話もさほど引き伸ばせませんよね。
よく、「若手がサプライヤ企業の問題点をあげると、興味深く聞いてくださる」といった話を聞きますが、どうなんでしょう? 私は、そのサプライヤの方の度量しだいだと思います。余裕があれば、年下の調達・購買担当者が批判してくれても受け入れられるでしょう。でも、人によりますから、心のなかでムッとするケースもあるでしょうね。ひとは他人から欠点を指摘されることを基本的にキライますから。
ではどうすればよいか。私は逆説的ながら使っているフレーズがあります。それは「これほど順調に経営なさっていたら、問題点とかないでしょう」です。もちろん、このままいって欲しいわけではありません。自分がいいやすいように多少はアレンジする必要はあります。でも、これ、なかなか面白いと思いませんか。
人間って、他人から批判されると、ムカっとします。「問題点は、ここだ、あそこだ」と言われちゃうと、誰だってイヤかもしれませんよね。でも、「問題なさそうですね」といわれると、逆説的に、さまざまな問題を開陳したくなります。
ひとは押したら逃げていく。でも、引いたら、引き寄せられる。そういう矛盾というか、奇妙な生き物なんだと思います。
たとえば、私はあるサプライヤから、「こういう会社なんですが、続きを知りたいですか?」と訊かれました。「ご興味なければ、両社にとって時間のムダですし、意味がありませんから」とも。なんだか、そこまでいわれてしまうと、逆に知りたくなってしまうのですよね。
ぜひ、この一言「これほど順調に経営なさっていたら、問題点とかないでしょう」を覚えておいてください。いろいろ応用して使えると思いますよ。肝要は、すべて相手に述べさせる点にあります。優秀なビジネスマンも、商品説明のあとには「いかがなさいますか」と判断を相手にゆだねます。ここがポイントなのです。こちらから伝えた情報は情報にすぎなくても、相手が語った情報は言霊となって、相手を縛りますからね。
ところで、あなたは「これほど順調に社会人として過ごされているから、問題点とかないでしょう」と訊かれたらどう答えますか? いろいろ質問者としては引き出せるかもしれませんね。