甘ったれたアホ部下はどうすればいいのか

私のもとに、メールが届きました。申し訳ありませんが、個別の無料相談は行っておりませんので、この場を借りてご回答します。その内容は、「部下のやる気がない」というものでした。抜粋すると、そもそも購買部に来たかった部下は誰もおらず、注意すると「部門をかわりたい」といったり、個別面談のときに「会社を辞めたい」といったりするそうです。勉強しろ、といっても、「そこまで仕事に興味ありませんから」と避けられ、「こういうことをやるために会社に入ったのではない」という始末。

ここで、私の意見を真面目に書きます。私は、調達・購買関係の講義をやっています。運の良いことに、私の著作をお読みになった方から、個別にご依頼いただき、会社で講演を実施するケースも多いものです。そのとき、なかには、まったくやる気がなく、講演がはじまる前から寝ているひとがいます。また、聞く気がなく、スマホをいじったり、ゲームをしているひともいました。

でも、こういうひとには、このひとなりの理屈があります。それは「聞くのか聞かないのかは、私の権利だ」というものです。「聞いている側はお客さんだから、どういう態度をとろうとも勝手」というわけです。買い手と売り手は平等である、と、そういった企業の購買方針には書いてあるのですけれど、自分にはあてはめないようです。

だから、始まる前から寝ていようが、スマホいじろうが、ゲームしようが勝手だ、というわけです。そもそも人間とは「好きなことを仕事にすべき」だから、現在、調達・購買なる「好きじゃない」仕事をしている私は「ほんとうの私」ではないそうです。「講師がどう思おうと知りませんよ。だって、私には聞くか聞かないかを決める権利があるし、講師はカネをもらっているわけだから、こっちがどういう態度を取ろうが耐えろよ」というわけです。

相談者のあなたが、現状に不満ならば、転職するしかありません。「部下をどうやって変えようか」なる質問はときに、「不可能です」といわざるをえません。なぜならば、「娘が将来、不良を好きになったらどうしよう」ではなく、「娘が不良を好きにならないように育てる」しかないからです。部下に当てはめるならば、「甘ったれず、自覚と責任をもって行動できる社員をそもそも採用するしかない」のでしょう。

でも、私はあなたに辞めてほしくはありません。そして、調達・購買という仕事にも、上司という仕事にも希望を持ち続けてほしいと心から願っています。

私ていどの分際で以降のセリフを述べるのをご容赦ください。日本人ビジネスマンは、いまや世界との相対レベルが低下しています。仕事をやらずとも「食えてしまう社会」だからでしょうか。甘ったれたアホ社員がうじゃうじゃ増殖しています。「私はこんな仕事をする人間ではありません!」と、実力もないバカが権利だけを主張するのを見ると、上司や会社に心から同情してしまいます。逆に上司は、若手と対峙する苦労のなかから、逆説的に、喜びを見つけ出すほかありません。

でも、そのなかにも、「やってやる!」という自覚を持っている若手がいます。あなたの職場には一人かも、二人かもしれませんが、確実にいます。それに、その一人や二人ではなくても、なんだかんだいって、その他大勢の若手社員も、毎朝ちゃんと職場に来てくれています。それは、確率1%であっても、「仕事が楽しいの可能性がある」と思ってくれているからだと私は信じています。権利を主張し、自分探しをするだけではなく、心のなかで、ほんの少しでも捨てきれないからだと思います。

上司は、「ノブレス・オブリージュ(高貴なる者に伴う義務)」を負っています。敗北する可能性の高い勝負。若手のほとんどが甘ったれたバカになっても、その一人でも多くを責任と自覚ある立派なビジネスパーソンに育てる。むしろ、育てるのをあきらめることこそ、あなたの負けかもしれません。「敗北する可能性の高い勝負」ではありますが、敗北を決めるのはすべて自分。「敗北の99%は自滅である」のです。

え、ほんとうに、まともな部下が一人しかいない? あるいは二人しかいない? でも、あなたは彼ら一人か二人を責任と自覚ある立派なビジネスパーソンに育てるのに成功したわけでしょう? 凄いじゃないですか。

もちろん私も「敗北する可能性の高い勝負」に挑んでいる最中です。私は、あなたにエールを送りたいと思います。がんばってください。

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