調達マネージャーを騙す方法

いきなり「調達マネージャーを騙す方法」を書きます。書くのですけれども、これは「マネージャー」を「部下」に変えてもいいですし、「お客さん」に変えても、「役員」に変えてもおなじです。軽薄な内容のようですが、意外に濃いと思います。

まず、前提として、いまは誰もが評価されない時代になっています。高度成長期には十パーセント以上、毎年のように給料が伸びました。そしてポストも広がっていきました。日本企業はこのところ海外に活路を見出そうとしていますが、ポストは当然ながら外国人が占めるので、パイはさほど大きくなっていません。

そして、一人ひとりの実力もどんどん可視化されています。これは皮肉ではなく言っているのですが、かつての上司がすごかったのは、「何をやっているかわからなかった」からです。「実力もスキルもよくわからなかった」からです。繰り返しこれは皮肉ではありません。

こういう時代にあっては、「がんばっているのに」「評価されない」「役職もいまのままでは不満だ」と思うひとを増やします。おそらくこれは構造的な問題なのです。さてそこで、「調達マネージャーを騙す方法」です。つまりこの時代において相手をコロっといかせる方法です。

それは、これまで考えてきた背景から論理的に導くに、調達マネージャーの「能力」にフォーカスするしかありません。

「能力」にフォーカスするとは、「あなたの能力を私だけは理解している」と述べることです。「田中課長。調達戦略の青地図を創造する能力は凄いですね。まわりはもっと気づくべきですね」というわけです。いや、これは冗談ではありません。ほんとうにいうのです。

誰だって一つは優れたポイントがあります。それを「能力」と表現し、そして「まわりが気づいていない」と指摘してあげるのです。繰り返すと、これは冗談ではありません。誰だって、「評価されていない」と思う時代にあっては、能力というもっとも可視化しにくいものを、あなただけが理解している事実が最大の賛辞になるのです。

こう書いている私であってすら、「いやあ、あなたのここの能力はもっと世間から評価されるべきだ」と真顔でいわれると、「そんなことありません」といいながら、「うへへ。いやいや、ははは」と笑みを浮かべるくらいなのです。

調達マネージャーを「騙す」というのは言いすぎである、とお気づきいただいたはずです。これは他社賛美の手法なのです。思い出してみれば、売れっ子芸能人が過去を振り返るエピソードを聞いたことがあるはずです。そのときに、貧乏な時代から支えてくれていた女性はかならずこういっているはずです。「あなたにはお笑いの才能がある。私だけはわかっている」。これも、その才能を信じるだけではなく、あえて「言う」ことに意味があると私には思えます。

日ごろから思っている他人の良いところ。そこを、あえて「言う」ことで、さまざまな好機がもたらされるはずです。これはお世辞とかではなく、新たなコミュニケーションの一手法なのです。

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