知らないとヤバい。調達のリスク対応心得
ゼロ円です。お読みいただきたいリスク対応心得が発表されました。お金はかかりません。ご存じない方はお読みになり、かつ転送なさってください。そのタイトルは「東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得」です。このところ、アマゾンのリンクを貼ってしまうと、メールマガジンが届かない事象が頻発しています。ですので、よろしければ、各自このタイトルで検索ください。するとkindle(電子リーダー)で「0円」表示されています。
文字タイトル通りこれは、「東日本大震災」からの教訓をまとめたものです。大震災が起きた直後から、そして一週間後まで、さまざまな観点から総括されています。災害が起きて、対処療法ばかりではなく、このように冷静に振り返られるのは価値あることです。著者が国土交通省であることもあって、冷静にそしてふんだんなデータとともにまとめられています。
最初からドキっとさせます。「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」。そりゃそうだ。第5章の第2節はロジスティクスが主題になっています。燃料の調達などについての契約締結の必要性などが、かなり具体的に語られています。もちろん、ここで書かれた防御策のすべてを民間企業が教訓とするのは難しいかもしれません。ただ、学べることはたくさんあります。
かつて思想家の鶴見俊輔さんは「戦争責任は100年」という説を唱えました。もちろん戦争は悪い。責任も取らねばならない。しかし、それを100年で区切ってはどうかという意見です。なぜならば、100年くらい経てば、おじいさん、お父さん、子ども、と三世代にまたがりちょうど戦争の記憶もなくなってしまうからだといいます。良くも悪くも、第一次世界大戦から100年の今年に振り返ってみれば、たしかに伝わり聞いた戦争の記憶を語っているひとはほとんどいません。先の大戦(私はこの戦争を「太平洋戦争」とも「第二次世界大戦」ともいいたくないのです)はまだ国民のなかに記憶が残りますが、それもいつまで続くでしょうか。
その意味でいえば、調達・購買担当者も三代くらい替わってしまったら、2011年3月11日の記憶もなくなってしまうのかもしれません。それは悲しいことです。が、またありうる話でしょう。担当者が4年で4、5回ほど替わるのも珍しくありません。担当者が替わるならまだしも、そもそも調達・購買部門からいなくなるケースもあります。だからこそ、大震災時のサプライチェーンの教訓を後の世代に残す必要があるのでしょう。きっと。
私は「大震災のとき!」という書籍で、自分なりの記録を残したつもりです。できれば、3.11の記憶を風化させぬよう、今年もどこかでイベントができればと考えています。このままおしまいにするのは、あまりに日本人として惜しいと思うからです。まずはみなさんと、「東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得」を読みつつ考えてみたいと思います。