マズローの5段階欲求説について(坂口孝則)

以前、私は「モチベーションで仕事はできない」という著作を書きました。

その際に、ネットなどで「この著者はマズローの5段階欲求説を知らないのか」といった批判がありました。奇妙な批判です。別に理論を使っていようが、使っていまいが、間違いは間違いだし。正しいものは正しい。だから、マズローを参照していないのが、なぜ間違いかと批判しなければ、それは批判になりえません。

ところでマズローの5段階欲求説とは……。

・生理的欲求
・安全欲求
・帰属欲求
・尊重欲求
・自己実現欲求

と、わけて、人間の欲求を5段階にわけたものです。この欲求説はもちろん知っています。ただ、あまり深追いせずに来ました。

私は現在、古典を読んで現代の戦略を考える会合を開催しています。そこで、だいぶ前から気になっていたので、マズローのこれらの古典を読んでみました。

すると、驚愕の事実に行き当たりました。

なんと! マズローは、これらの欲求を説明しているものの、マズローは、これを段階的に述べてはいません! つまり、私たちは、よくマズローの5段階欲求説として、ピラミッドを思い浮かべます。しかし、こんなものは、マズローが言っていないものだったのです。ショックを受けました。私であってすら、幻影に影響されていました。

マズローの広報役を担っていたゴーブルという人物が、簡易的な説明の意味で紹介した図が、これに似ています。だから、きっとゴーブルの図が、あやまって後世に広がったのでしょう。

たとえば、私は以前にこのような文書を書いています。

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メラビアンの法則は、人間の第一印象を形成する率を示したものです。

・ボディーランゲージが55%
・話し方や声の調子が38%
・言葉が7%

聞いたことがあると思います。ようするに、言葉よりも、見た目などが大切だ、と語るあれです。しかし、メラビアンは、そのようなことをいっていません。特殊な研究事例を指しているだけで、一般的にこの比率が成立するとはいっていません。だから、メラビアンがこう述べたと紹介するのは、明らかな間違いです。

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その他、多くのひとが誤解している法則があります。

ちなみに、マズローは後年、「自己実現欲求」を超えるものを提唱しました。つまり、自己すらも超える「超・自己実現欲求」です。これがマズローは最重要に位置づけたのですがほとんど知られていません。

なんだか世の中の常識を疑う姿勢がちょうどいいんだと、私は思います。

(了)

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