倒産予知に流動比率は有効か(坂口孝則)

今日はちょっとショックなことを伝えねばなりません。これまで、取引先の倒産予知の手法として、決算書分析がありました。そして、安定性分析の代表は「流動比率」です。

おさらいをしてみます。

貸借対照表を使います。資産の部にある流動資産と、負債の部(現在は、負債純資産ともいいます)の流動負債を使うものです。

会計の世界では、ワンイヤールールと呼びます。流動とは1年以内。固定とは1年超を指します。そこで、前述の流動資産と流動負債は1年以内を対象としていますので、比較するのは、それなりに意味があります。流動比率は、次の計算式です。

流動比率=流動資産÷流動負債

直感的に考えてみれば、1年で入るお金と、1年で出ていくお金を比較するものです。したがって、この比率が大きければ大きいほど安定しているはずです。直感的に考えても、出ていくお金が多かったら不安定です。最低でも1を超えなければならないとされていました。

だから、倒産の予知にも使えるとされていました。

しかし、ショックな図を見せねばなりません。

上記は90年代から、現在にいたるまで、倒産企業と非倒産企業の流動比率を見てみたものです。倒産企業はもはや決算書を出しませんから、その前の最新期のものです。ほとんど差異がありません。これは中央値を示したものですから、流動比率をベースに倒産企業を察知するのは、不可能といえるでしょう。

それにしても、以前の数式を思い出してください。

流動比率=流動資産÷流動負債

なぜ倒産企業も、同じような数字になるのでしょうか。答えは明確です。苦しいので、固定資産を売却し、現預金のレベルをあげようとするのです。また、経営者が自らのカネをつぎこんで増資しようとします。そうすると、流動比率が向上します。

というわけで、流動比率は倒産予知に無意味なのでした。誤解しないでください。流動比率は無意味ではなく、倒産予知に無意味なのです。

では倒産予知に使える指標はなにか。上記のメカニズムが正しいとすると、現預金を指標に入れないものとなります。それは棚卸資産の回転率(決算書上の売上高や、月商などとの比較)となります。この話はおって書いていきます。

(了)

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