バイヤー現場論(牧野直哉)

2.顧客へのおわびするとき

調達・購買部門が顧客へおわびする想定は難しいかもしれません。しかし、例えば顧客からの短納期対応ニーズの高まりによって、サプライチェーンへの負荷を増大させ、調達・購買部門ではサプライヤへ納期フォローにと必要な負荷を増大させています。そういった顧客ニーズへの対応の一環として、結果的に納期遅れを発生させ、顧客へ状況説明をおこなう機会を想定し対処法をまとめます。

①調達・購買部門における顧客意識
顧客対応は社内の役割分担で、基本的に営業部門の責任です。したがって購入品の納期問題も、まず社内の営業部門へ説明が基本的な対応です。しかし状況によってというか、「責任者でてこい」的に「購入品の納期管理の責任者が説明せよ」となってしまった事態を想定します。また、自社に問題がない場合で、顧客が納期短縮の懇願を目的に訪問する場合、最新状況の説明は、実際にサプライヤを管理し事態を掌握している調達・購買部門おこなう前提で話を進めます。

日常的にサプライヤから「顧客」と扱われている調達・購買部門やバイヤーが、自社顧客へ対処するのに違和感を覚えるかもしれません。しかし顧客第一の観点からみれば、調達・購買部門が自社の顧客と直接やり取りをおこなう可能性は大いにありえますし、そういった要請にはためらいなく対応すべきです。調達・購買部門やバイヤーが仕事するのも、すべてお客さまのおかげです。そういった日常的には接点のない顧客へ感謝の気持ちを持って対処します。また、サプライヤから顧客として扱われている調達・購買部門のバイヤも、たまたま社内の人事政策の一環として、調達・購買部門に配属されたに過ぎません。どの部門であれ、顧客を尊重する気持ちを忘れてはなりません。

②自社の時系列でおこなった確認結果を報告する
顧客と話をする際の準備です。まず、きっかけとなった事件や事象に対し、調達・購買部門でどのように対処してきたのかを時系列にまとめ、事実をありのまま理解しておきます。そして、自社内で時系列の経緯を周知し、共通認識化します。

事実関係を時系列で整理すれば、納期問題の発生原因がどこにあるかわかります。確認結果を細かい工程を記したガントチャートを作成すれば、お客さまも理解しやすいでしょう。基本的には、営業部門の意向を確認しますが、社内の確認で判明した事実をありのままお客さまに伝えます。既にトラブルになっている段階での対処ですから、自社に原因がある場合でも、率直にありのままを伝えます。そして自社に責のある場合はおわびをします。同時に、御客様がもっとも興味をもつ納期遅れを解消する具体的な対策を説明します。

③きぜんと対処する
どのような原因であっても、きぜんとした顧客対応を心掛けます。お客さまにとって満足できない説明内容であったとしても、調達・購買部門として、顧客に満足してもらえる結果を求め、サプライヤと一緒に対応しており、事態はすべて掌握している点は、最低限お客さまに理解してもらいます。トラブルが発生した場合、イレギュラーな対応によって、自社内が混乱している場合があります。その結果、お客さまの社内も混乱している場合もあります。調達・購買部門がお客さまへうかがう、あるいはお客さまが自社へやって来る目的は、顧客社内混乱の沈静化です。まず、自社内の混乱を終息させ、問題点が解消できていなくても、解決へ向けて事態は進行しているとの意識をお客さまには理解してもらいます。

また、自社に原因がない場合で、調達・購買部門がお客さまの前で状況を説明する場合は、積極的に対応しているあかしとして、再発防止を目的とした原因究明をお客さまに申し入れます。お客さまは、同じく調達・購買部門かもしれません。であるならば、お客さまの社内プロセスをヒアリングして、将来的に自社で善処できる可能性を模索します。再発防止とすれば、お客さまも協力姿勢を示すはずです。同じ調達・購買部門どうしで、相互理解を深め、二度と同じトラブルを発生させない決意を示します。

 <つづく>

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい