調達・購買担当者からのQ&A(坂口孝則)

Q:AI時代に調達・購買担当者はいなくなるのでしょうか。

坂口A(以下「A」):AIがやっている仕事と同じような仕事やってる人ならば、いなくなっても問題がない。おそらくそういうことなんだと思います。しかし実際AIを使って時間が空いた後に、どのような付加価値業務に従事をするかという議論はほとんどされていません。

というのも本来は目的があって、その目的遂行のために、AIを使うという議論があるべきですが、実際はAIができることは何かを探してる状況にあるように私には感じます。もっと酷い状況だと、「トップがAIを使って何かやれ、と言ったので何かをやりたいんですが何ができるでしょうか?」という相談があるくらいです。

だから。これは皮肉ではありませんがそのような質問をしてくるような組織はおそらくAIを使いこなすこともできないでしょうから、きっと部員の人の仕事がなくなるということもないのではないでしょうか。

Q:RPAを導入するスケジュールを立てているのですが、まずRPAをテストしようと思えば、どれくらいの期間が必要でしょうか

A:この辺の日本企業のスピード感が全く分からないのが私の正直な実感です。というのも、RPAというのはフリーソフトがいくらでもあります。どんなものでもまずは可能性を感じることは出来るはずです。RPAであればなんでもいいので、使ってみないと、結局、組織に応用できるかまったくわかりません、RPAのフリーソフトでいろいろやって、その可能性をまず実証してみればいいです。

どんなフリーソフトでも、おおむねできることが分かりますから、まずやった後に、価値がありそうならば、どんなソフト導入するかを決めればいいと私は思います。ということはRPAをやると決めて、おそらく2時間後にはダウンロードは完了しているはずです。そうすれば、その日のうちにはRPAの可能性が理解できるはずです。それを数ヶ月かけるというのは、この時代には全くそぐわないと思います。

ですから、日本企業が後塵を拝しているのが理解できる、象徴的な、残念な質問ではありました。

Q:プレゼンテーション上達法について教えてください。

A:結局、どのような目的でプレゼンテーションするかによって答えは変わってくると思います。というのも、いわゆる一般的には全く下手くそなプレゼンテーションでも、相手の心を動かすということが目的であれば、土下座でもなんでもやればいい。心を揺り動かすようなプレゼンテーションが重要でしょう。

何らかの承認が必要だと、となれば、承認をしてくれる上司がとてつもなく感情的な人なのか、とてつもなく論理的な人なのか、によっても答えが変わってくるでしょう。

ということは、重要なのは相手側を思いやる気持ちが重要だ、ということにしか行き着きません。相手側が欲していることをそのまま表現してあげることが一番重要なのではないでしょうか。その意味ではプレゼンテーションというのは「他者への優しさ」と言い換えることができるはずです。

すなわち、どんな対象者を動かそうとしているのか。その他者理解こそが最も重要なプレゼンテーションに必須だといえます。そのためには、自分の内容を考え抜くことよりも、むしろどういうこと話せば他人が喜んでくれるかを考えねばなりません。つまりプレゼンテーションとは、サービス業だと考えるべきです。

Q:情報収集源について教えてください。

A:このような質問について常に思うのですが、答えは意外性がありません。すなわち皆さんのことも知ってるような内容です。日経新聞を読む、海外のサイトを読む、NEWSPICKSを読む、あるいは毎日2冊ずつ本を読むなどです。

しかしながら難しいのは情報源を知る事ではなく、情報収集を継続することです。答えはすでに皆さんが知っているのです。問題は、ずっとやり続けることです。

ではなぜ多くの人はやり続けることができないのでしょうか?

それは簡単で、やり続ける意味があまりないからです。例えば、全く同じ仕事をしていても金をもらい続けることができるのであれば、新しい情報摂取をする必要はありません。しかしながら、情報をどんどん、どんどん集めていかないと、仕事自体がなくなってしまうとしたら? その人の価値自体がなくなってしまう状況に置かれたら、いやがおうでも情報収集をせざるを得ません。

したがって、そのような状況に無理やり自分を置くことができるかが情報収集を継続する鍵なのです。

Q:部門全体のモチベーションが下がっています。納期調整におわれるためです。打開案はあるでしょうか。

A:ちょっとこれは大事な問題なので答えますね。まったく別の意味からです。というのも、この手の質問は答えられないケースが大半です。たとえば、そのご質問の意味ですが、「納期を早めたい」のか「納期はあきらめて、しかし、それでもモチベーションを下げないようにしたい」のかで、まったく異なりますよね。そのとき、前者の意味であれば、わかりません。どんなものを調達なさっているかもわからないのに納期前倒しの方法などわかるはずはないのではないでしょうか。また、後者の意味であれば、おなじくどのような部員のひとがいるかもわからないので、これも答えようがありません。つまり、曖昧な質問には曖昧な答えしかありません。

<了>

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