連載「調達・購買戦略入門」(坂口孝則)

調達・購買の戦略を連載しています。

今回は、市況情報の活用についてお話しします。

・まずは欠かせない日銀情報

この日銀のホームページは欠かせません。そこでリニューアルされたURLを見てみましょう。
http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html


下に「系列名称検索」がありますのでクリックしてみてください。
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$nme_s060

「条件1.系列名称指定」とありますので、例えば「アルミ」などと入力してみてください。下の検索ボタンを押していただければ.無数のアルミ関係の材料が抽出できるはずです。そこでは、対象年を設定し、その期間の価格推移を見ることができるものです。これにより価格交渉、とくに値上げ交渉の際には重宝するでしょう。

・労務費査定について

次に私たち調達部員は、労務費を査定する機会が多いと思います。そこで労働者の給料をどのように査定すればいいのでしょうか。

一つは厚生労働省が出している「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」というデータベースを見ることです。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

やや煩雑で分かりにくいのですが、下にある「統計表一覧(政府統計の総合窓口e-Statホームページへ移動します)」を見てみましょう。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011791


そこで「原表」というところがありますから、最新年度をクリックしてみてください。すると、エクセル表ダウンロードすることができます。

加えて企業の種類、すなわちサプライヤがどんな分野に属しているかによって給料が違うはずです。そこで使えるのが、同じく厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」というものです。そこで、産業別の結果を見ることができます。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/index.html

ここでは統計表のエクセルが直接ダウンロードができますので見てみてください。

また面白いところでは、もっと細かな分類として、人事院が調べています。というのも、彼らは、民間事業所の給与と公務員の給与を直接比較しなければなりません。そこで、毎年のように「職種別民間給与実態調査」を実施しています。かなり細かな分類といいましたが、年齢階層、職種、規模、学歴別にわかれています。
http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/minn/minnhp/min28_index.htm

・具体的な物価について

鉄鋼や非鉄関連の市中相場情報を確認できるのは、日経新聞でもかまいませんし、「日刊鉄鋼新聞」が有名です。
http://www.japanmetaldaily.com/

また、分野としては、難しい側面がありますが、電子電気部品も情報源はあります。電子電気部品の品目は限られ、かつ実際のみなさんの契約単価とは異なるでしょうが、生産量や平均価格推移を確認できます。「電子部品年鑑」(中日社)というものです。
http://www.chunichisha.co.jp/buhin.htm

また、参考に紹介すると、食品・農林関連価格については、ちゃんと公的に調査されています。
農業物価統計(農林水産省)で私のテレビでのコメントネタ元となっています。 これは一般教養にもなりますが、農業生産資材(肥料等)も生産者にとっては重要な情報ですから、価格推移を確認できます。日本における農業関係従業者は、たったの数パーセントしかいませんが、やはり力が入っています。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noubukka/

これは実際の調達では使わないかもしれませんが、おなじく教養として。酒類の小売価格だけではなく、卸売価格などの動向が掲載されています。「酒類食品産業の生産・販売シェア」(日刊経済通信社)が使えます。
http://www.nikkankeizai.co.jp/book/marketing-shares/

同じく私のテレビネタですが、生鮮野菜の価格と販売数量が掲載されているのは、生鮮食料品価格・販売動向調査(農林水産省)です。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/seisen_doukou/

また馬鹿にできないのは、建設用資材関連です。これは、歴史があるため、いくつかの市況確認雑誌が上梓されています。労務費等の市中価格が掲載されていますので、自社のジャンルを問わず一読の価値があります。
「積算資料」(経済調査会)
http://www.web-kensetsu-plaza.com/
「建設物価」(建設物価調査会)
http://book.kensetu-navi.com/index.php?main_page=product_info&products_id=8
「土木施工単価」(経済調査会)
http://www.book-kensetsu-plaza.com/114.html

Google検索でもさすがに、企業間取引の単価はでてきません。これがきっと検索のラストフロンティアになるでしょう。情報源は強さの時代になってきました。

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