量産効果を考えようパート2(坂口孝則)

前回から量産効果について考えています。

前回の問題意識を繰り返します。少量生産企業からすると、これまでわずか2個しか発注していなかったものが、4個になれば、だいぶ多くなった印象です。だから「発注量が倍になったから見積り価格を下げてください」と交渉したいわけです。

しかしところで、この少量生産企業の場合、発注量が倍になったら、どれくらい下がると思ってよいのでしょうか?

製品のコストを……。
・材料費
・労務費
・設備加工費
・金型費
・経費、利益

とわけると、作業性が向上するのは、このうち「労務費」「設備加工費」と考えられます。まず、それを分離することからはじめましょう。教科書によっては、数量が増えれば、コストがまるごと下がると書いているものがありますが、あきらかに雑すぎです。

そこでの概算は次の通りです。

・累積生産量が倍になればコスト(「労務費」「設備加工費」)は0.8倍になる
・累積生産量が4倍になればコストは0.8×0.8=0.64倍になる
・累積生産量が8倍になればコストは0.8×0.8×0.8=0.512倍になる

さて、今回はそのファイルをご紹介します。

http://www.future-procurement.com/keiken.xlsx

これはズバリ「経験直線シミュレータ」というものです。いつも申しておりますが、エクセルファイルがダウンロードできない場合はご自宅からセキュリティを外してから再実施お願いします。

解説に書きました。黄色箇所を入力してください。

「低減率設定」の箇所は20%をデフォルトとしています。一般的に20%が使われます。しかし業界によっては30%だったり、逆に5%だったりします。みなさんの感覚値にも近い数字を入れてください。

次に「絶対値」の箇所ですが、これは元の製品コストを指します。前述のとおり、「労務費」「設備加工費」の合算値です。細部までわからなければ、トータルの見積価格を入れるのもやむなしでしょう。しかしその際は、「低減率設定」を低めに設定しなければなりません。

あとは、数量が倍ではなく、1.1倍とか1.2倍とかになった際の低減率計算をしてくれる欄が下にあります。

これは表を見たままですが、数量が何倍になったら、どれくらいコストが下がるかというと次の通りです。
2000円だったものの数量が……。

●2倍になると1600円になる。これはもとの0.8倍である
●4倍になると1280円になる。これはもとの0.64倍である
●8倍になると1024円になる。これはもとの0.512倍である
●16倍になると819.2円になる。これはもとの0.4096倍である
●32倍になると655.36円になる。これはもとの0.32768倍である
●64倍になると524.288円になる。これはもとの0.262144倍である

いくつかのケースを想定して計算してみてください。

 <了>

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