バイヤ超基本業務(牧野直哉)

5.社内ルール~社内情報収集と調整

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調達購買業務は、企業ごとに設定される業務プロセスやルールに依存して、仕事が進みます。調達購買部門に大きな期待が集まるコスト削減も、その算定方法には社内にルールが存在します。ここでは、社内に存在するルールやプロセスを味方にするためにはどうするかを考えます。3つのポイントがあります。

1つめは、ルール・プロセスの理解です。

現在、業務内容を理解する教育は、①業務マニュアルの読み込みや、②OJTによっておこなわれます。②OJTは、調達購買部門のメンバーから、業務プロセスに沿って学びを得ます。OJTの性格上、その目的は業務の「処理」の完了に主眼が置かれます。

業務処理ができるのも重要です。しかし、ここでは①業務マニュアルの読み込みこそ重要であるとお伝えしたいと思います。業務マニュアルには、正しい(プロセスの設定時)の具体的な対処方法が明記されています。しかし、どんな業務であっても、マニュアルに記載されているから正しいかといえば、違います。より効率的に処理するにはどうすれば良いかを考え続けて、改善を続けなければなりません。

OJTは、仕事を学ぶ手法として、有効性はあります。しかし、教える側の伝えるスキルに依存しています。教えるのが上手な人から学べば、より多くが学べます。しかし、教える側の業務理解の深さはまちまちです。そういった教える側の「違い」をそのまま引き継ぐ可能性をOJTは元々もっています。理解が浅い状態でおこなわれるOJTにはリスクが存在するとの前提で、マニュアルの読み込みと理解も同じように取り組むべきです。

2つめは、前工程、後工程の理解です。業務マニュアルの読み込みでは、自分が担当する業務の正しい処理プロセスを学ぶだけでなく、みずからの担当工程の前工程と後工程までを視野に入れます。その上で

「自分の仕事の前工程はなにか」

を確認します。なぜ、自分の仕事が社内で起きるのか。そして、仕事の「目的」の正しく理解を目指します。加えて、前工程では、どのような処理が加えられて、どんなタイミングでおこなわれるのかも理解します。

自分たちのおこなっている仕事とは、なにか「意義」が存在し、調達購買部門でやらなければならない「理由」があるはずです。自分たちでおこなっている仕事は、すべて「意義」「理由」があるはずです。この2つがない業務とは、本来おこなうべきではない業務です。効率を高めるために、意義や理由がわからない業務は止めたらどうなるかとの視点で検討を加えなければなりません。

そして、前工程を理解すれば、さまざまな「予測」ができます。業務内容に曖昧さが残る場合は、前工程からのアウトプット=調達購買部門のインプットの内容も、内容が多岐にわたってしまいます。自分たちが受けた内容を、ルールに沿って判断し、いくつかのアウトプットに展開するのはやむを得ません。調達購買部門であれば、購入要求を受けて、その内容を判断して、どのサプライヤへ発注するかを判断する場合などが例です。部門間に存在するアウトプットやインプットの種類は、できるだけ少ない方が、来す混乱も少なくなります。

前工程ですから、調達購買部門以外の部門である可能性もありますね。その場合は、前工程担当部門のマニュアルを参照します。社内であれば、参照可能であるはずです。これは、アウトプットへの理解にとどまらず、前工程そのものの理解につながります。調達購買部門で、トラブルが頻発している場合、その原因が前工程に存在する場合もあります。自分たちだけでなく、前工程まで含めた改善を施して、より根源的な解決を目指します。

3つめは、自分たちの業務完了のポイントです。

私は、自分の仕事には終わりがないと考えています。事業が続く限り、仕事は次から次に対処しなればなりません。しかし「仕事」を細かく分類してゆけば、仕事の「終わり」は必ず存在します。その判断基準と、アウトプットの内容品質を確認します。調達購買部門がいい加減なアウトプットをおこなえば、後工程は混乱し、巡りめぐって前工程であるわれわれに大きなマイナスの影響をおよぼす可能性があります。既に使われている言葉ですが、ここでは「後工程は、お客様」として、後工程がやりやすい仕事、プロセスの引き渡しが重要です。

この3つのポイントをおこなって、自分たちの仕事を理解します。これは、ベテランのメンバーにも効果的です。調達購買部門全体であらためて自分たちの業務内容を理解する場を作り、業務マニュアルの更新をおこなって、仕事の品質を高める「きっかけ」にしましょう。

(つづく)

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