ほんとうの調達・購買・資材理論(牧野直哉)

3.実務担当者に必要な知識/スキルアップ実践

3-1 数字を読み解く力 2回目

前回は、日本銀行のホームページの「時系列統計データ検索サイト」からのデータのダウンロードの方法をお伝えしました。前回の内容は、データを加工して活用する目的でした。欲しい情報の見つけ方や、ダウンロードまでの具体的なプロセスは少し難しかったかもしれません。これは、詳細データが数多く存在するためです。実際に皆さんが担当する購入対象に近いデータが存在するのです。データが多い分、検索が少し複雑なってしまうのです。

今回は、インターネットのホームページ上で、既に見やすい形で掲載されているデータの取得・活用方法です。ホームページに掲載され、公開されている情報を「ふ~ん」と感心するだけでなく、自分の、自社の持つデータと合わせ見れば、いろいろな疑問が浮かびます。データは、活用して、具体的には新たな課題や問題点、あるいは原因の仮説化に役立ててこそ意味があります。今回は、前回と少し異なり、2つのホームページから、データの活用について学びます。

「世界経済のネタ帳」 http://ecodb.net/

このページは、次にご紹介するカテゴリー毎に、様々なデータをグラフで表示しています。またグラフの元データもcsv形式(Comma-Separated Values、カンマ区切り)で、ダウンロードできます。

カテゴリー

1.世界の国・地域
2.世界のランキング
3.コモディティ
4.為替
5.株価
6.ツール

カテゴリーの中で「コモディティ( http://ecodb.net/pcp/ )」には、「コモディティ一覧」として次の項目があります。

・エネルギー価格
・食料価格
・飲料価格
・金属価格
・原材料価格
・商品価格指数

また、複数のコモディティには、次のようなデータが網羅されています。

・原油価格の推移
WTI / ドバイ / ブレント
・天然ガス価格の推移
日本 / アメリカ / ヨーロッパ
・穀物価格の推移
米(コメ) / 大麦 / 小麦 / とうもろこし
・食肉価格の推移
牛肉 / 豚肉 / 鶏肉 / ラム肉
・コーヒー豆価格の推移
アラビカ種他 / ロブスタ種
・貴金属価格の推移
金(ゴールド) / プラチナ
・非鉄金属価格の推移
アルミニウム / 銅 / 鉛 / ニッケル / 錫(スズ) / 亜鉛
・木材・製材価格の推移
木材(ソフト) / 木材(ハード) / 製材(ソフト) / 製材(ハード)
・商品価格指数の推移
総合 / エネルギー / エネルギー以外

このページだけで、欲しいデータの大半は入手可能な方も多いのではないでしょうか。これだけのデータを、一覧にして、グラフで表示しかつcsv形式データがクリック1回でダウンロードできる活用性の高いサイトです。そんなに細かい品目のデータは必要なくて、いわゆる原材料の代表的なモノのデータが欲しい場合は格好のサイトです。私は、このサイトの「為替( http://ecodb.net/exchange/ )」のページはよく活用しています。もちろん、Yahooや金融機関のサイトにも同様のデータはありますが、活用できるCVSデータのダウンロードは、一番簡単です。前回ご紹介のページの場合、正しいデータの入手までが、慣れていないと結構手間がかかります。その点このサイトは、既にグラフ表示がおこなわれているので、短い時間で傾向がつかめるのです。

つづいてこのページ。

「社会実情データ図録」 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html

これは、本川裕さんのホームページです。このページ( http://goo.gl/jP1nf5 )では、著作が4作紹介されています。どれも、データを小難しく捉えずに、おもしろくわかりやすく(題名にもありますが)表現されています。もし、ご興味のある方は、文献をご覧いただきたいのですが、このホームページだけでも十分に興味深い内容です。ポイントは多様なデータのグラフ化です。

5月17日に掲載された「コンビニの客層変化」には、1994年から2011年のセブン・イレブンの来店客の年齢別構成比(%)( http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5622.html )が掲載されています。既に半数近くが40歳以上となっています。同社のホームページ( http://www.sej.co.jp/concept/top.html )を参照すると、来店者の年齢を意識したコンセプトメイキングが表現されています。セブンイレブンの社内では、日本の年齢別の人口分布と比較して、40歳以上の顧客に取りこぼしがあると見込んだのでしょう。以下の棒グラフは、日本の人口と来店者の年齢別構成です。日本は40歳以上が60%弱にまで増加しているのですね。こういった

・自社の実態(今回の場合は、来店者の年齢構成比)
・人口の年齢構成比

<クリックすると、別画面で表示されます>

を並べると「進むべき道」の1つが示される例です。(ちなみに、コンビニエンスストアに来店した顧客の年齢をどのように判断するかは、購入時に預り金を入力しておつりを計算する時に年齢別のボタンを押してデータを蓄積しています。したがって、店員の主観による判断です)このような数値化・グラフ化が多様な分野でおこなわれています。各ページにはコメントが加えられています。コメントでは、比較的広く世間で話される内容に、データを根拠として疑問を呈するページが存在します。(例えば、所得格差についてのこのページ( http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4660.html )とか)また、それぞれのデータには「出典」が明記されているので、もっと詳細に調査する場合は、原データにもアクセスできます。

今回はホームページを参照するだけで、さまざまなデータを視覚的に理解できるページをご紹介しました。この2つのページをご参照いただいて、データの有効性というより、おもしろさをご理解いただけたら、とてもうれしく思います。

(つづく)

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