外資系企業に勤務したからわかる日本企業の3つの弱点

私は極めて属性の異なる2つの会社を経験しました。1つは伝統的な日本の大企業。もう一つは、アメリカの中堅企業です。規模の違いとか、企業ごとに異なるオペレーションの内容とかではなく、私はそれぞれの社員のスキルの違いから、日本企業に共通する弱点が3つあるなと確信しています。そして、この弱点の克服こそ、これから市場で価値を持ち続けるバイヤーで有り続ける源泉になると確信しています。

1つ目は新たなIT技術の業務への取り込みです。

パソコンが日常業務に導入された当初は、若年層と中高年層の間でその活用方法に大きな違いが出ました。それでも飲み会やゴルフのスケジュール合わせに重宝するメールは誰しもが活用するインフラになりました。しかし問題は、メールの先にあります。

企業は日常的にさまざまなデータを蓄積しています。調達・購買部門であればそのデータから自社やサプライヤーの傾向を読み取って、実績に根ざした具体的なアクション生かす取り組みが必要になります。このデータの活用が日本とアメリカの企業では大きく異なっています。

まずアメリカの企業では、管理職以上でも自らパソコンを操作してさまざまなデータの分析を行っています。例えば会議の資料をすべて日本で作成して上層部に確認を取りながら完成させるといったプロセスは、あまり存在するイメージがありません。自分で発表する資料は自分で作るのが原則です。自分で作成するために、データを読み取るためのスキルや様々なソリューションを活用して適切なデータ活用を行っています。

いうなれば、マネージメント層でもしっかりとしたパソコンやIT技術の活用スキルをもっているのです。現在の日本企業の中間管理職は、まさにWindows 95の登場でパソコンが世間に広まった瞬間を目の当たりにした世代です。以降、メールのみならず様々な情報システムの導入や、クラウドに代表される新たな技術の登場によって、より少ない労力でより大きな成果を得られる時代が来ています。アメリカ企業のマネージメント層では、ITスキルを持っていないとまともな経営判断ができなくなっているといっても過言ではありません。

一方日本では、かつてパソコンを操作し活用していた世代も、年齢の上昇とともに新たな技術の対応ができなくなっている様に感じます。また企業内でも、自らパソコンを操作してさまざまなデータからは傾向読み取り意思決定に反映しているマネージメント層は、日本企業は少ないように思います。この点が日本企業とアメリカ企業の、例えばスピード感の違いの原因になっているのです。

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