バイヤーが身につけるべきスキルとは(調達・購買とは何をするのか)

今思い出しても、私はなんと素晴らしい人と出会ったのだろうと思います。もちろん、皮肉ではありません。バイヤーが身につけるべきスキルとは、もちろんたくさんあります。しかし、その第一に挙げられるのは、スピードです。例えば、営業マンに対して、そんなに難しいことを要求していますか。ほとんどが、「締め切りを守れ」「要求した資料を提出せよ」ということがほとんどです。そういった意味では、私はトップスキルを苦境の中、覚えさせていただきました。今では、「私より速く早く資料を作れる人間はいません」と自慢していますが、元はといえばこのスパルタ教育にあったのです。

バイヤーが速く仕事をするためには、事象を次の三つに素早く分類しましょう。

1.すぐに片付けるべきもの

2.保留するもの

3.無視するもの

この三つの切り分けができていれば、ほとんどのことは速く対処が可能です。

上司からの依頼、サプライヤーとのやり取り、社内との調整業務。それらを分類し、1.にあたるものから猛烈な速度でやっていけば、間違いなく「優秀なバイヤー」と呼ばれます。そして、「スピード」というスキルを身につけるためには、細分化して次の小スキルを学習することになるでしょう。

(1) パソコンスキル…速く資料を作る能力

(2) 戦略構築スキル…手元の情報から、将来の絵図を描く能力

(3) ロジカルシンキングのスキル…正しく判断する能力

(1) は、ソフトの参考書を数冊読み、各種コマンドを学習することです。ワードやエクセルやパワーポイント。Windowsの操作方法やVBA(Office上で動かせるプログラミング)を徹底的に学ぶだけで、資料作成の速度が2倍は違ってきます。毎日4時間を資料作りにあてている人が2時間でできるようになれば、すごいことです。

(2) は、現在の状況を把握し、問題・課題点を洗い出し、将来につなげる施策を考え出すことです。これは、以降の章でも説明します。

(3) は、理論的に考えることです。ロジックツリーでもなんでも構いません。「こういうときはどう考えるべきか」という定石を頭に叩き込むことです。何かの質問があったとき、何かの問題が降りかかってきたときに、即座に頭の中で考え、自分なりの結論や仮説を導くこと。これは、特に難しいことではなく、訓練によって身につけることができます。本来は、教えてくれる先輩がいれば良いのですが、本による訓練も十分可能です。

バイヤーにとっては、英語といったスキルももちろん大切です。しかし、英語が話せても中身のない阿呆なバイヤーであれば、誰からも相手にされません。バイヤーという基礎スキルができていなければ、単に「通訳」として使われるだけです。

速く早く仕事をすること。そして、その内容に深みを持たせること。小手先のスキルよりも、それらの方がずっと先まで役に立つはずです。それに、他の人が8時間かかっていることを、半分以下で成し遂げることは、理屈抜きに嬉しいし、愉しい。スピード狂になって、時間あたりの生産性を上げることもできます。

現場の人たちが、あれほど必死になって毎時間働いているのに、バイヤーだけが楽して良いはずもないからです。

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