超メール返信術(坂口孝則)

・2種類のメールを判別する

ぼくはメールアドレスをネット上に公開しているからか、さまざまなひとからメールをもらう。著作の感想だったり、あるいは何かのイベントへのお誘いだったり、仕事の依頼だったり。

もちろん、前ニ者は自由に書いてもらってかまわない。ただし、仕事の依頼であれば、最終的な目的は相手にYESといわせることだ。ぼくも逆に仕事を誰かに依頼することがある。そのときはできるだけ丁寧に書くようにしているけれど、仕事の依頼を受ける立場からすると、あまりに低姿勢で丁寧すぎて、まわりくどくてイライラすることがある。

ただし、これはひとによって感想が異なる。あるひとに、ぼくに届いた超慇懃丁寧なメールを見せると、ぼくと同じく「なぜもっと端的に書けないのか」という。だけど、違うひとは「これくらい丁寧に書いてくれたほうが良い」という。

逆にぼくはそっけないメールにあまり悪い印象はない。さすがに宛先くらいは書いたほうがいいと思うけれど、単刀直入に結論に入ってくれたほうがいい。だけど、メールにも作法があるし、文面は懇切丁寧でなければいけないというひとがいる。メール作法の本を読んでも、著者によって答えが異なる。丁寧と端的。どっちが正解なんだろう。

ここでは、メールの書き方を述べたい。メールは資料とはいえないかもしれないけれど、メールだって立派な文章だ。また、せっかく資料をちゃんと作っても、メールのやりとりで相手を怒らせたら台無しだ。

そこで、このメールの書き方。結論からいえば、正解は二つある。丁寧なメールを出したほうがよいひとと、端的なメールがよい人。メールの相手がどちらかを察知し記録しておくことで仕事をスムーズにしていく。
たとえば、みなさんが佐藤さんで、仕事上のパートナー田中さんからメールを受け取ったとしよう。

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この「田中さん」は①丁寧タイプのひとだ。このひとに、端的に返信してしまうと心証を害することがある。もちろん、田中さんにしてもお願いしてきているわけだから、怒りはしないだろう。だけど、このタイプのひとは、ある種の形式を大切にし、メールを単なる伝達ツールとしては考えていない。ぼくはこのことの良し悪しは論じない。そういうひとということだけだ。

このひとに正しい返信は、こうなる。

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逆に、田中さんがこうメールしてきたらどうだろう。

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この「田中さん」は②端的タイプのひとだ。この田中さんの場合、あまりに丁寧なメールだともどかしく感じてしまう。せっかちなひとも多い(ぼくのことだ!)。だから、返信はこうなる。

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もちろん、こんな極端にわかれないかもしれない。ただ、ここでの肝要は、メールのタイプを把握しておくことにある。一回目のメールは丁寧に書かざるをえないけれど、それ以降は履歴を確認し、どちらのタイプに合致するかを調べておこう。

また、可能ならば、相手がくれたメールの文面よりも、すこし行数が多いとなお良い。5行のメールだったら、6行以上。10行だったら、11行以上だ。え、そんなに書くことがないって? そんなときは、相手の文面を引用することと、頻繁に改行することでクリアできる。とくに、頻繁に改行すると、読みやすくなる。ときに改行せずに、一文を長々と書き続けるひとがいるけれど、メールソフトが勝手に改行することがあり、文章がぐちゃぐちゃに崩れて読みにくいことがある。

目安は35字未満で改行することだ。そうすれば読みやすいし、ほぼどんなメールソフトや画面でも、それ以下で改行されない。ワードで新規ファイルを作成すると、横40文字だから、それよりも5文字すくない。

・2種類のメールアドレス登録を判別しよう

それと、細かいようだけれど、メールのヘッダーに載っている情報も見ておこう。おなじく、みなさんが佐藤さんで、田中さんからメールを受け取ったとしよう。そんなとき、

To:”佐藤一郎” <ichiro.sato@XXXX.com>
To:”佐藤一郎様” <ichiro. sato@XXXX.com>

のどっちになっているだろうか。前者の場合は致命的としかいいようがない。たとえば、手紙を出すときに、呼び捨てで出すだろうか。前者は、自分の登録メールアドレス名称が、相手に読まれていると想像できないレベルのひとだ。細かなことに気づかないことが多い。

逆の立場では、メールアドレスを登録するときに注意すべきだ。社外のひとであればとくに。「さん」はまだしも「氏」も、いまの感覚では止めたほうがよく、「様」がふさわしいだろう。ときに、ぼくのもとに「To:”未来調達研究所 坂口考則” <sakaguchitakanori@cobuybtob.com>」とするメールが届き、返信する気になれなかったことがある。

また、このとき

From:”佐藤二郎” <jiro.sato@XXXX.com>

となっていれば、そのまま返信すると、呼び捨てになってしまう。なので、できれば相手の登録名が漢字になっていれば、「様」をつけて返信したほうが良い。ちなみにぼくはすべて「様」を付け直して返信している。しかしそれにしても面倒だ。そこで、「様」を付け直しやすいGmailを使っているほどだ(Gmailは宛先の名称をすぐにテキストで修正できる)。

さらにいっておけば、メールのタイトルに「株式会社○○の佐藤です」と、自分の名前を書くことはできるだけ止めたほうがいい。開いてほしいからそんなタイトルをつけるかもしれないけれど、逆の立場だったとして、人の名前が入っているメールを開かなかった経験はあるだろうか。とくに、相手から返信を求める場合は、タイトルには用件の要点を書くべきだ。

たとえばぼくが「未来調達研究所の坂口です」とタイトルにつけると、相手は返信で「Re:未来調達研究所の坂口です」となってしまい、相手に呼び捨てという非礼な行為をさせることになる。それよりも、タイトルを読む時間だって何秒かかかるわけだから、相手の時間を尊重し、タイトルにはメールの目的を書くべきだ。

逆に相手の名前の入ったタイトルでメールが届いた場合は、タイトルを修正して送ってあげたほうがいい

「○○株式会社の佐藤です」とあったら、返信では「○○株式会社 佐藤様へのご返信です」とか「いただいたご質問についてのご回答」など。それにしても、自分の名前がそのまま呼び捨てにされてメールを受け取るひとの気分はどんなものだろうか。

メール作法はある意味、礼儀に関わる。だから、何をやったら大丈夫ということはない。だけど、この程度は実践しておきたい。優しさ、とは、細かな気遣いの累積のことだから。

<了>

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