Q&A(牧野直哉&坂口孝則)

【Q.1】
坂口さんこんにちは。メールマガジンとかのなかでグラフをよく提示しますが、その作り方を教えていただけるとありがたいです。画像を保存するのですが、なかなか自分で作成することができません。また、会社のなかで説明するときなどに自分で使用したいのでお願いします。

【A】
具体的にどのグラフかを教えていただければお答えしますよ。よろしくお願いします。なお、これは野口悠紀雄さんがおっしゃっていた内容ですが、多くのグラフは数値よりも、「どうやって作ったか」に価値があります。とくに、統計データは各国政府(あるいは政府関係機関)ホームページで無料公開されています。しかし、自分がほしいデータがどこにあるのか、ものすごくわかりにくい。なので、グラフを作成するだけではなく、どのURLから入手したのかをメモなさっておくことをオススメします。

なお、国内経済のほとんどのデータは「統計局」から入手できると思いますよ。ご参考までに(坂口孝則)。

【Q.2】
(前略)最近、注目している人を教えて下さい。(後略)

【A】
難しいですが、石井慧さん、やまもといちろうさん、与沢翼さん(いろいろな意味で)、くらいでしょうか。ところで、ご質問の意図とはかなり異なりますけれど、最近はamazonレビューに興味がありまして。この仏像のレビューなんか最高です。星4つとか、5つとかの、こんな流行があるんですね。とにかく笑えました(坂口孝則)。

【Q.3】
はじめまして。さっそくですがわたし自身が独立を考えており(中略)、独立して成功するヒントを教えて下さい。(後略)

【A】
ちょっと私的すぎる箇所がありましたので、中略しました。お考えの職種はコンサルタントのようですので、この点に絞ってお答えします。まず、もともと私が成功しているとは言い難いので、そこは差し引いて聞いてください。

まず、普通は独立したてのひとにコンサルティングを依頼するひとはいません。この冷たい事実を客観視すべきです。松尾昭仁さんの「コンサルタントになっていきなり年収650万円を稼ぐ法」という本があります。え、たったの650万円かよ、と思いますけれど、ストライクゾーンだと思います。給与所得者の平均は年間409万円にすぎず、独立したからといってその金額が跳ね上がるはずはありません。むしろ下がるのが普通です。

暗い話ですがほんとうです。そのなかで、なんとか独立してやっていくためには、三つの観点が必要だと思います。(1)価格ドリブン (2)テクノロジードリブン (3)コンテンツドリブン の三つです。可能ならこのうち一つはほしい。あるいは磨くしかありません。まず(1)は他の誰よりも安くサービスを提供することです。行政書士さんなんかまさにこれですね。司法書士さんなんかも。誰がやっても同じ結果になるんだったら、価格が安いほうが勝ちます。だから、コンサルタントとして独立したければ、品質確保を前提に低価格で提供することです。もちろん、最初はほんとうにタダでも良いかもしれません。実績作りです。そして(2)は文字通り他を寄せ付けない技術力を持っていることです。文系だと難しいかもしれませんが、これもお客があなたを選択する「理由」があります。だって、あなたにしか事実上、注文できないわけですから。そして(3)は内容の卓越性です。あなたにしか語れないコンテンツがあること、あなたにしか作れない資料があること、あなたにしかできないコンサルティングサービスがあることです。

簡単な順にはもちろん(1)→(2)→(3)です。ただし可能ならば、(3)→(2)→(1)を狙うべきでしょう。私は完全に(3)を狙っています。(2)もいいですけれど、日進月歩の技術進化に自分自身がついていける気がしません。独立なさるのであれば、この三つのうちどれにフォーカスするかどうかを決める必要があります。どれを選択できそうですか? あとは必死に営業するだけですよ(坂口孝則)。

【Q.4】
(前略)購買部門が、馬鹿にされず、相手にされていないので、異動したいと思っているのですが、そのように思ったことはありませんか。これ以上資材調達で経験を積むことに疑問を感じています。私の上司は・・・(中略)どうしようもない人なんです(後略)

【A】
問題は、2つですね。まず、馬鹿にされ、相手にされていない点について。

私が十数年前に調達購買部門へ異動したときも、正直に言えば、私自身が調達購買部門をあまり良く思っていませんでした。まだ会社を辞する気持ちを持てなかった私は、私が持っている調達購買部門のイメージをまず払拭しようと思いました。そして実際に調達購買部門で仕事をしてみて感じたのは、確かにご指摘の通り、馬鹿にされ相手にしてもらえない同僚もいましたけど、設計や製造といった関連部門から頼りにされ、他部門の担当者がよく訪ねてくる人がいる方もいました。部門としては、低く見られているかもしれないけど、そんな中でしっかりと価値を生む仕事をしている人もいることが私には新たな発見でした。そして、徹底的に「どうやったら他部門の人から連絡をもらって、訪ねてもらえるのか」を考えました。調達購買部門では、サプライヤーの営業パーソンが訪ねてきますよね。同じ頻度で、社内からも連絡をもらったり、訪ねてこられるようになろうと思ったんです。とっても真剣にご相談頂いていると感じましたので、率直に書きますね。馬鹿にされて、相手にされているのは、部門全体なのか、それともあなた自身なのか。会社では、組織とか風土といった自分がどんなにあがいてもどうにもできない問題もあれば、他の同僚とは少し違う考え方にもとづいて、自分で行動することで解決できる問題もあります。私が調達購買部門へ異動してきたとき、よく他部門から来訪を受けていた人は、訪問を受ける以上に、他部門へ足を運んでいました。また訪ねてこられたときも、いろいろなアドバイスを与え、かつサプライヤーにも積極的に調整をおこなっていました。動きが能動的だったんですね。今、所属されている部門が問題であれば、まずあなた自身の行動なり考え方を部門の風土から断ち切ってみてはいかがでしょうか。

そして二つ目の上司の問題。お見受けするところ、規模の大きな会社にお勤めなのでしょうか(頂いた文面から推察しました)。上司は数年で変わりませんか?もし、上司の立ち振る舞いが許せなければ、一歩大人になって、逆にフォローしてはいかがでしょう。上司といっても聖人君子ではありません。たかだか数年から10年と少し先に生まれ、あなたよりも早く入社したにすぎないのです。すこし上司への期待が高すぎるかもしれません。あなたのことを100%は理解できないのです。ぜひ、ほんとうにわかって欲しいことだけを、わかりやすく伝えてあげてください。もし上司のあなたへの対処に問題があれば、その半分はあなたに原因がある可能性が高いです。相手の責任追求し始めた瞬間に、解決の糸口は極端に少なくなります。今、大きな困難に直面しているかもしれませんが、困難は解消し、乗り越えるものです。頑張ってください。(牧野直哉)。

【Q.5】
最近、担当しているサプライヤーの経営が、思わしくないとの噂を聞きました。どのようにすればいいか、ほんとうの調達・購買・資材理論で書いてもらえませんか? 

【A】
倒産対応は、増刊78号で坂口さんが書かれています。まずバックナンバーページからご参照ください。ご質問から申し上げることは、ご担当されているのであれば、実際に噂になったサプライヤーを訪問されてはいかがでしょうか。私のバイヤー経験から申し上げれば、まさに火のない所に煙は立たないわけで、なんらかの対処が必要です。そして、そういった行動は隠密におこなってください。「噂を聞いた」とは、どこの誰からでしょうか。そういった話が好きな人が多いことも忘れてはなりません。あなたに話をした人が、なぜ伝えてくれたのかも考えましょう。そして、同時に万が一の事態に備えた動きを始めることをおすすめします。

一点、私が経験したいくつかの倒産で、共通する点があります。倒産したサプライヤーは「不思議だなぁ~、凄いなぁ~」と思うことが多々ありました。なんで××なんだろう?例えば、会社規模から判断して大きな投資をおこなっているとか、価格競争力があるとかいった、バイヤーにとっては魅力として目に映る内容です。しかし、内実がともなっていない常識的なレベルからの逸脱が、倒産へ至っています。倒産対応は、動きの機敏さが問われますので、すぐアクションをとりましょう。(牧野直哉)

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