あらためて資料作成の基本について(坂口孝則)

最近、若いやつと仕事をすることが多い。そこで気になるのが、パワーポイント等での資料作成において「基本ができていない」ことだ。もちろん、基本を知ったうえで、あえて逸脱することはあっていい。ただ、基本をしらないままで資料をつくると危なっかしい。

そこで、説教臭いのだけれど、資料作成の基本について述べてみたい。もしご自身の資料で意識していないポイントがあったら、ぜひ修正いただきたい。もちろん、絶対的な方法ではない。ただ、いくつかの気づきがあるはずだ。

まず、グラフを提示するときには、このようなグラフではいけない。

タイトルにもあるとおり、6つの情報(6ツール)を盛り込む必要がある。

1.グラフ・図表のタイトル
2.単位
3.各軸の数値
4.縦軸の意味と目盛(上記では0~120)
5.横軸の意味と目盛(上記では2006年~2010年)
6.出典

繰り返す通り、絶対的な方法ではない。ただ、厳密性を求められる仕事では、上の6情報を網羅せねばならない。すくなくとも若年サラリーマンであれば、意識することは有益だ。なかでも、6.出典を漏らしているケースが多い。だから上位者から「この数字はどこから拾ってきたの?」と質問されてしまうのだ。聞き手に優しい資料・プレゼンテーションになっていないのだ。

もちろん、場合によってはすべての資料に記載することはできないだろうが、データがすべてを物語る箇所では、欠かしてはいけない。

さらに、矢印にも意味があることをしってほしい。線も同様だ。

ビジュアルも大切だろうけれど、意味を考える。そうしないと、「なぜ、このような図形を使ったの?」と問われても答えられない。自分なりのルールや確信を持っておくのだ。

・グラフの使い分けについて

そして、グラフ自体をどう使い分けるかも自覚的であったほうがいい。傾向や変化を示すときは、折れ線グラフや棒グラフを使う。このときに、時間的継続性があれば折れ線だし、時間的継続性がなければ棒グラフを使ったほうがいい。

極端に話す。たとえば、受験勉強をしているA君がいたとして、記憶している単語数の時間推移を示したいとしよう。そのときは、記憶している単語数は、時間的継続性があるから、折れ線グラフになる。データとして示していない点と点も、連続性があるのだ。

それにたいして、A君がサイコロをふって出た数字を並べるとする。そのときは、サイコロの目に時間的継続性はないため、棒グラフとなる。

もちろん、これほど単純な例ばかりではない。時間的継続性があるのかないのか微妙な場合が多い。そのときも、「なぜ折れ線グラフを使うのか」「なぜ棒グラフを使うのか」について考えること、意識的になることが重要だ

そして比率を強調したいときには円グラフを使用する。また、時系列、あるいは対象ごとの「比率」を強調したいときには積み上げ棒グラフを使用する。

・グラフの使い分けについて

最後に、ループだ。調達・購買関係者は、対象を改善・向上させていくことが多い。また、逆に事象の問題点を抉り、そこから改善施策を抽出することが多い。そのときに覚えておくべきは、「良い内容は時計回り」「悪い内容は反時計回り」のルールだ。

人間は時間的経過とともに、物事が向上・改善していることを望んでいる。だから、無意識的に時計回りは、素晴らしいループなのだ。それにたいして、反時計回りは、消極的、否定的意味を持つ。

まずはグラフを多用する調達・購買部門として、この程度は覚えて資料作成にあたりたい。もっとノウハウがあるので、それはまた今度。

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