コストダウン合宿 1
「やるだけやってみましょうよ」
そういって、設計、営業、製造、品証、そして競合関係となるサプライヤーが2社から担当者が集合。総勢20名にもなったコストダウン合宿の始まりである。社外施設での二泊三日のまさに缶詰状態で、コストの妥当性を追及するのだ。
言い出したのは私だが、まったく勝算はなかった。やらなくてもゼロだし、まぁやってみて失敗ならそれでも良いか?と思っていた。もしかしたら、大幅なコストの見直しが実現できるかもしれない・・・・・・なんて、甘い期待を持ってはいたが、今まで誰もやったことがないことを実現しただけでも価値があるじゃない、と心に決めて関連部門長の説得行脚を試みた。
人間あまりにも突飛な事象に遭遇すると、思考停止となる・・・・・・各部門長の反応はそんな感じだった。今までそんなこと言ったやるいなかったぞ。どうやってやるの?勝算は?次々と繰り出される質問に対して、唯一「コストダウンできるの?」って質問にだけは「わかりません」とキッパリ答えた。こいつ、何言ってるんだ?って、珍しいものでも見るような目線だったが、熱意を買ってくれたのか?それとも、勝手にしろという諦めか?出席して欲しい人すべてが一堂に会する結果となった。
最初は・・・・・・もうかなり手探り。だいたい20名のディスカッションなんて、まとまるわけない!と思って早速後悔もした。そしてこんな場でも買う側と売る側の立場の差もあって・・・・・・まさにカオス状態。一歩歩いて三歩戻るような状況がしばらく続いた。私自身も悩みながら、
「じゃぁそろそろ休憩しましょうか?」
位しか言えず・・・だったのである。
夕食が過ぎ、引き続きディスカッションが続く。話そのものは進展を見せていないが、出席者の疲労度は増している。動けない、自由に話せない・・・・・・そんな雰囲気が余計に疲れさせる要因となっている。雰囲気も重々しい。ココで中断しようか?でも初日から中断はなぁ~せっかく逃げられない状況を作ったわけだし。いろいろ私もない頭を絞って刺激を与えようとするのだが、なんとも話が前に進まない。
「牧野さん、ちょっと良いですか?」
サプライヤー側のキーマンと、事態打開への糸口を相談した。そして・・・・・・事態は半分動くことになるのである。