値上げ対応のタブー 3
値上げ対応のタブー、3つめは「根拠無き値上げ受け入れ」です。
根拠無く値上げを受け入れなければならないケースは、交渉のポイントが受け入れるか否かといった二択の選択になってしまった場合に発生します。バイヤー企業側が「受け入れない」の一点張りで押し通し、サプライヤーがたまらず納入停止を明言した場合などに見られます。
確かに値上げ要求など受け入れたくないのは理解できます。しかし、最終的に条件闘争ではなく、受け入れるか否かの交渉になってしまった時点で、バイヤーの負けです。すべての調達・購買部門では買わない選択肢を持ちません。どうしても買わなければならないのです。その究極の弱みを突かせるに至ってしまった原因はどこにあるのでしょうか?
私がこれまで値上げ対応セミナーを通じて数百名の受講生のワンポイント相談を受けてきた経験から申し上げれば、値上げ受け入れを拒絶し続けるあまりに、条件闘争へ移行するタイミングを逸しているケースが多いと考えています。もちろん、値上げ要求を突っぱね続けて、最終的にサプライヤーが値上げ要求を取り下げれば御の字です。しかし、サプライヤーがどうするか?の見極めが甘いケースが極めて多い。いや、そもそも見極めるつもりもなく、一方的に拒否し続けているケースが多いのが実情です。
こうなったら、値上げの妥当性もなにもありません。言い値で買わない限り事態は収集できません。これまでのコストダウンの取り組みや、構築したリレーションを一瞬にして無きものへしてしまうのです。根拠無き値上げ受け入れとは、それほどに代償が大きな対応なのです。したがって、サプライヤーが開き直るかどうかを見極めつつ、ギリギリの対応が必要になるのです。