8-1 納期遅れの原因と防止策
●ポイント
1.納期遅れの判断基準を明確に説明する。
2.納期遅れを防止する具体的な取り組みを紹介する。
3.納期遅れの原因究明と再発防止策を提示する。
納期遅れは、バイヤー企業とサプライヤーの間でもっとも起こりやすいトラブルです。したがって、あらかじめ回避する取り組みを行い、納期遅れが発生した場合は原因を改善し、二度と起こさない管理を実現することが重要です。
●「納期遅れ」を判断する基準
納期遅れが起こったとされる場合、まず次の3つの日時を確認します。
サプライヤーから事前に知らされているリードタイム(××日)
バイヤー企業からの注文書の発行日(発注日、×月×日)
注文書に記載された納入日(×月×日)
これらの日数を確認し、(1)のリードタイムが(3)-(2)の日数より大きいか少ないかを確認します。「大きい」もしくは「同じ」場合で、同時に(3)の期日が守られない場合が納期遅れです。しかし、(3)-(2)の日数が少ない場合、納期遅れとしてサプライヤーに最優先の対応を迫るのは困難です。
バイヤー企業は、希望納期に納入されないと「納期遅れ」という言葉を使いますが、サプライヤーと納期の合意があり、その合意が守られない場合に初めて納期遅れと判断できます。納期遅れが疑われたら、まず前提条件となる上記(1)~(3)の確認から始めます。
●納期遅れを防止する取り組み
納期順守は、一つひとつの作業内容に設定された納期が守られて実現します。納期遅れ防止は、サプライヤーだけでなくバイヤー企業まで含めた全体工程を対象に行います。注文書の発行には、購入条件と必要数の確定が必要です。サプライヤーへ納期短縮化の働きかけと同時に、バイヤー企業内の各プロセスに納期を設定し順守を働きかけます。サプライヤーで納期遅れが発生した場合、納入日繰り上げに取り組んでもらうためにも、まずバイヤー企業の納期順守が必要です。
●納期遅れの理由を突き止める
納期遅れが解決した後、遅延原因を必ず突き止め改善します。納期遅れは原因工程が必ず存在します。納入日からさかのぼり最終的にはバイヤー企業の発注日までを対象に予定と実行状況を検証します。リードタイム全体を細分化すれば原因は明らかです。納期遅延は必ず原因を究明し、再発防止対策が必要です。
●具体例
ある企業では、納期遅れを防ぐために定期的な進捗確認ミーティングを導入しました。このミーティングでは、サプライヤーとバイヤー企業の双方が参加し、進捗状況を共有し問題点を早期に発見・解決することができました。この取り組みにより、納期遅れが大幅に減少し、双方の信頼関係も強化されました。
このように、納期遅れを防止するための具体的な取り組みと原因究明は、バイヤー企業とサプライヤーの関係を改善し、より効率的なサプライチェーンの構築に繋がります。
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