3-(1)-3 リバースオークション「リバースオークションの使い方」

私のミスは必然でした。

リバースオークションを使っただけでコスト低減が簡単にできるわけではありません。サプライヤー調査や綿密な精査などをすっ飛ばして、画面上の情報だけを見て判断していたのですから。

そもそも業務プロセスをおろそかにせず、ちゃんと整備した後に、交渉代理システムとしてリバースオークションを使用するべきだったのです。

どのようなサプライヤーを選定するか、は注意を要します。サプライヤーが新規だった場合は、当然のごとくフェイストゥフェイスのときと同じように厳密な調査・ヒアリングが必要となってきます。

加えて、リバースオークションは結果がはっきりと分かるため、最安値のサプライヤーにきちんと注文書を発行せねばなりません。「ためしにやってみただけ」では、次回以降誰も参加しません。

また思うに、リバースオークションに適した商材があります。それはいくつかの条件を満たしたものです。

① 仕様や取引条件が明確化できるもの

② 現行の価格が高いと分かっているもの

③ いつでも切り替えることのできるもの

④ 同じような製品を持つサプライヤーが多数存在すること

カスタム品をリバースオークションにかけようとする人がいますが、①のようにサプライヤーとバイヤー企業が共同してコンセプトから創り上げてゆくものは適合するとは思えません。また、②現行のコストが高いという認識・事実がなければ、わざわざリバースオークションを実施する必要もありません。③切り替えることが事実上困難(重要機能を要す部材など)であればコスト低減は絵に描いた餅に終わってしまいます。④参加企業がなければ、現行サプライヤーとの関係強化に力を注ぐべきです。

このように考えると、現状ではリバースオークションが有効なのは一般材(事務用文房具・旅券)に限定されるであろうと思います。

ただし、一般材は誰も手を付けていない領域であるために、コスト効果は大きいはずです。多くのリバースオークション導入成功企業も、まずは一般材から始めています。

否定的なことも書いてきましたが、リバースオークションは非常に有効なITツールであることは繰り返し述べておきたいと思います。ただ、同時に繰り返すと、ITツールだけでは業務を劇的に改善することはできず、業務プロセスの整備と実施が最初にあり、それらを効率化することにその存在目的があります。

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