2-(4)-2 バイヤーとして身に付けるべきこと「私の経験」

「いままでありがとうございました」

調達・購買部門を去っていった人たちをたくさん知っています。「一度大学に戻って、MBAを取得しコンサルタントになる」と言った友人や、全く別の職種に就いた友人、実家を継いだ先輩。

その多くが、次の職業としてバイヤーを選択していませんでした。最近になって、私は多くのバイヤーと話す機会があり、もちろんその中にはバイヤーとして転職を繰り返す方もいらっしゃいますが、まだ一般的とは言えません。

無理な納期要求に、無理なコストダウン目標。もし、こんな日々が続いていたのだとしたら、辞めることは一つの選択肢となります。不条理の中で揉まれることも多々あるため、モチベーションの継続も難しい。

そもそも問題は「あるべきバイヤー像が分かっていない」状況の中、「バイヤー何を身に付ければよいのか」が分からないことです。「理想のバイヤーは、製品知識があって、業界知識があって、交渉力に長けていて、戦略を構築できて、人間味にあふれる人だ」と抽象的に語られるのがせいぜいです。普通は「声を大きく出しておけ」とか「勢いで仕事をしろ」「大切なのは気持ちだ」とか、精神論が語られるくらいでしょう。

具体的にどうやって成長してゆけばよいのか。そういう方法論は誰も教えてくれませんでした。

悶々としていたときに、世界にはバイヤー教育の方法論があり、実践されていることを知りました。それは、知識偏重ではなく、精神論偏重でもないものでした。

背中を丸めて歩いていれば、暗い発想しか出てこないように。笑っていれば、明るい発想しか出てこないように。身体(右脳的なこと)と知識(左脳的なこと)は近い関係にあります。「体力がある」ということと「知識を学ぶ」ということは、どちらかを否定するべきではなく、同時に高めようとすることが大切です。

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