知らないとヤバい。調達のリスク対応心得(坂口孝則)
かつて思想家の鶴見俊輔さんは「戦争責任は100年」という説を唱えました。もちろん戦争は悪い。責任も取らねばならない。しかし、それを100年で区切ってはどうかという意見です。なぜならば、100年くらい経てば、おじいさん、お父さん、子ども、と三世代にまたがりちょうど戦争の記憶もなくなってしまうからだといいます。良くも悪くも、第一次世界大戦から100年の今年に振り返ってみれば、たしかに伝わり聞いた戦争の記憶を語っているひとはほとんどいません。先の大戦(私はこの戦争を「太平洋戦争」とも「第二次世界大戦」ともいいたくないのです)はまだ国民のなかに記憶が残りますが、それもいつまで続くでしょうか。
その意味でいえば、調達・購買担当者も三代くらい替わってしまったら、2011年3月11日の記憶もなくなってしまうのかもしれません。それは悲しいことです。が、またありうる話でしょう。担当者が4年で4、5回ほど替わるのも珍しくありません。担当者が替わるならまだしも、そもそも調達・購買部門からいなくなるケースもあります。だからこそ、大震災時のサプライチェーンの教訓を後の世代に残す必要があるのでしょう。きっと。
私は「大震災のとき!」という書籍で、自分なりの記録を残したつもりです。できれば、3.11の記憶を風化させぬよう、今年もどこかでイベントができればと考えています。このままおしまいにするのは、あまりに日本人として惜しいと思うからです。まずはみなさんと、「東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得」を読みつつ考えてみたいと思います。