[必見]かならずコスト削減できる方法(坂口孝則)

製造業の方に限らず、覚えておいたほうがいいコスト削減手法をお伝えします。それは書籍等では、ほとんど書かれていない方法です。金型を使ったコスト削減手法です。「金型価格を査定して、安くする」と思った方、それは違います。その方法ではありません。

みなさんが調達している見積書に、すでに加算されている金型コストを下げるやり方です。みなさんの会社では、なんらかの製造物を調達する際に、金型はどうしていますか? まさか、金型がなくても製品ができると思っているひとはいないでしょうから、「金型とは何なのか」という説明は省きます。なんらかの製造物では、たいていの場合、金型が生じます。

みなさんの会社が、自社の資産として金型を有し、サプライヤーに貸与していれば問題はありません。しかし、問題なのは、金型をサプライヤの資産にしたまま生産してもらっているケースです。そのとき、みなさんは、その金型費用がいくらで、そして製品単価にいくら計上されているか把握しているでしょうか?(ちなみに、これを「配賦」といいます)。

例えば調達価格が1000円とします。このうち金型費用は、どれくらいかということです。もし把握していなければ、コスト削減の大きな宝の山がそこに眠っている可能性があります。というのも、その1000円のうち、たとえば100円が金型費用だったとします。かつ、その製品を3年以上、調達し続けるとしたら、100円は安くできます。なぜなら、2年で金型の減価償却は終わっているはずですから。3年目以降は、会計の処理としても、その100円を差っ引いてもらうことに、正当性があります。

これは、特定の業界にいるひとにとっては当然の話です。償却が終わってしまえば、それまでの分で、金型費用は回収できているはずですので、それ以上、客先(つまり調達側のことです)に請求する必要はありません。請求すると、そのぶんがサプライヤの利益になってしまいます。ただ、必要なぶんだけを請求するという建前からすると、請求しないで良いはずです。

そのぶんを「下げてくれ」というのですから、問題はありません。調達しはじめてから、2年後にアラームを設定しておいてください。また、その2年のあいだに、定期的なコスト削減にサプライヤがご協力いただいていたとしたら、「何によってコスト削減したか」を記録しておいてください。つまり、そのあいだに10円ほど下がったとしたら、何の原価要素を下げてくれたのか記録しておくのです。その項目が金型でなければ、その後も有効なコスト削減手法です。

ですので私は、
1.「当初の見積り時点で、せめて金型費だけでも分離してもらう」
2.「コスト削減していただいた際には、なんの項目で削減いただいたか記録しておく」
の二点をオススメしています。

ところで、少なからぬ業界のひとにとっては、金型の減価償却費という意味もわからないし、2年で償却が終わることも知らないのです。なによりも、2年前から同じ調達担当者がやっている場合も少ないので、交渉をそもそもし忘れてしまうのですね。こういうちょっとした点で、企業がコスト削減をしそこねていると考えると、残念な気がします。それに、これは、単純に制度の問題で、下請けイジメとか、サプライヤいじめとも無縁ですからね。

また、ちょっとした知識を貪欲に追及することも必要ですよね。こういった小さな差が、いつか大きな差になっていくような気がします。

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