なぜ私はこんなに美人なのか(坂口孝則)

先日、ニーチェの「この人を見よ」を再読していました。ニーチェは、ドイツの哲学者で有名です。といっても、実際に著作を読んだひとは多くありません。私は、このニーチェからものすごく影響を受けており、著作でもふれています。

さて、この「この人を見よ」を大学生のとき以来、読み返していたら、ほんとうに爆笑してしまいました。章のタイトルが凄い。「なぜ私はこんなに賢いのか」「なぜ私はこんなに利口なのか」ですよ。賢いと、利口は違うってことなんですけれどね。挙句の果てに、「なぜ私はこんなに良い本を書くのか」ですよ。彼の遺作なのですが、文章も絶好調です。

<私がちょっと意地悪をされたとする。すると確実に、私はその「報復」をする。(中略)粗野きわまりない言葉や、粗野きわまりない手紙のほうが、沈黙よりたちがよく、誠実であるように思える。沈黙している人間には、ほとんどいつも心の繊細さや礼儀正しさが欠けている>

いやあ、面白いですね。哲学者が真面目くさった話ばかりすると考えると、こういう、ニーチェの性悪さはわかりませんね。だって、沈黙する人間は「心の繊細さや礼儀正しさが欠けている」ってめちゃくちゃですね。ただ、これは「右の頬を打たれたら左の頬を出せ」というキリストの教えに反抗しているのは間違いありません。

ところで、「なぜ私はこんなに美人なのか」という女性がいるとしたら、ちょっとアレなひとですよね。また、「なぜ私はこんなに美男子なのか」という男性がいたら、炎上すると思うんですね。しかし、私も社会人になって、ニーチェを読み返すと、二つのことに気づきました。

それは、「このような章のタイトルとすることで、相当なプレッシャーを自分にかけている」点と、「これまでの常識と反することを発言する際には、これだけの過激さが必要なのだ」という点です。たしかに、「なぜ弊社の調達部門は、こんなに優秀なのか」と宣言した時点で、相当なことを考えて実行する必要があります。

私は本田宗一郎さんを尊敬しています。私が氏から勝手に受け取ったメッセージは「身の程を知るな」というものです。身の程なんて知っていたら、一人のバイク屋のおやじが、あれほどの世界企業を創れるはずはありません。氏の身の程知らずは、40代、50代になっても続きました。「身の程を知るな」。ぜひ、みなさんにも伝えておきたいと思います。

ということで、「なぜ弊社はこんなに多くの調達関係者を魅了するのか」と宣言しておきたいと思います(うわーいっちゃった)。みなさんも、おのおの宣言するのを期待しています。

勇気がない? そんなときに、私が尊敬する先輩から聞いた一言を記しておきます。
「怖いけどさー。人生なんてそんなもんよ」

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