世界一のバイヤーになってみろ!(坂口孝則)

今年も新人調達担当者の教育で企業にお呼びいただきました。会社の偉い人たちは、「最近の学生は勉強しない」と嘆きます。でも、そんなことはないはずです。パソコンも使える、スマホも機能を使いこなしている。英語も話せる。どう考えても、旧世代以上の能力でしょう。

私は、よく経営者や役員の集まりに誘われるのですが、その後の飲み会では、彼らはつねに「いかに学生時代に遊んでいたのに、この立場に上り詰めたか」を自慢します。この矛盾は恐ろしいものがありますね。

心配することはありません。学生時代に遊んでいても、学ぶ気持ちと、行動する勇気さえあればなんとかなります。新型コロナウィルスは、いわゆる新たな調達様式を要求しています。そんなとき、企業の色に染まっていない新人のほうが、はるかに問題点を指摘できるのではないですか。

「役員の発言を、なぜみんなは何の検証もないままに、受け入れるのだろう」とか(これを私は役員感染症と呼びます)。

「みんな、なぜ会議をしたがるのに、会議の記録を残さないのだろう」とか(まさに三密調達と呼びましょう)。

「先輩は、なぜ無意味な資料ばかり作っているのだろう」とか(バカクラスターの発生と呼びましょう)。

会社に入ったばかりだからこそ気づく点がたくさんあるはずです。さきほど、私は「最近の学生は勉強しない」と嘆きながら、「いかに学生時代に遊んでいたのに、この立場に上り詰めたか」を自慢するトップについて書きました。おなじく、会社の先輩は誰だって、若者に「新たな風を吹かせてほしい」といいます。しかし、その方々が、「前例がないから」と変化を嫌う状況を何回も見てきました。

けっきょくは本気じゃないんです。

若者から意見を吸い取って、そして改革に使うとは、相当な勇気がいります。組織を自己否定することです。中途半端な気持ちなら、言わない方がマシです。

そして若者も、思いつきで組織を変えられるなんて思わないほうがいい。そこには既得権益を守ろうとする人もいます。また、現在のシステムが出来上がった合理的な理由もあります。相当な勉強と、覚悟をもたなければ現状なんて変えられません。数年が経ったら、ほとんどの人は業務と組織を変えるなんてあきらめてしまいます。

20代の私は馬鹿者でした。30代の私も馬鹿者でした。私は40代になりましたが、みなさんの組織内にいる夢見る馬鹿者たちと、これからも変革のために尽力するつもりです。

かつてペストの流行が、ルネッサンスを生みました。混乱のいまこそ、変革のときです。混乱のなかだから、何でもできます。コロナ禍のただなかで、調達業務変革の構想を練っていきましょう。

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