調達タブーです(坂口孝則)

「なんでこんなことを書くんだ!」

だいぶ前、ドイツ人と仕事をしていた際に、メールで褒める意味で「88」と書きました。どういう意味か、みなさんご存知ですね。「パチパチ=拍手」の意味です。日本のネットには88が溢れています。しかしドイツ人の顰蹙を買いました。

「88」は彼らからすると、アルファベットの8番目の文字が続くことで、ハイル・ヒトラーを差します。同様に、「18」もダメです。それはアドルフ・ヒトラーを指すから。こんなの知りませんよね。しかし心しておきたいのは、自分たちが普通に使っている言葉のなかに、違う文化圏の方々を激怒させる可能性がある点です。

ところでアメリカ人と話していたとき、仲の良い社員が「発音に自慢があっても、FAX(ファックス)とは言わないほうがいいぞ」と教えてくれました。自主規制しますが、その理由はおわかりですよね。

また、私が未来調達研究所を作って名刺を渡したアメリカ人からは、未来調達研究所の緑色のロゴを見て「これはアメリカにはウケないんじゃないか」といわれました。理由は、緑は、白雪姫が飲まされた毒を想起すると。もちろんこれは地域にもよるでしょうし、米国人といっても多いですから、統一の見解ではないでしょう。

「私は調達の世界に、毒のような劇薬をもたらすのだ!」といったのですが、「でも緑のロゴのまま、米国で成功している企業はあるか?」と逆質問されました。いま考えれば「日本電産があるじゃないか!」と反論できますが、なんにせよ想像力の大切さを述べたかったまでです。

調達業務も同じで、自社の狭い範囲だけに留まっていると、どうしても硬直化してしまいます。自社のやり方しか見えなくなり、それは思考停止をもたらします。だから、もっと広い世界を見ることが現状打破に有益だと思うのです。企業の調達役員の方々と話すと「部員にはもっと広い視野をもってほしい」といいます。その気持ちに嘘はありません、きっと。

もっと問題なのは、部員の一人ひとりが他社の様子や、世界に目を向けないことだと私は思っています。つまり、よく「会社が教育やチャンスを与えない」と社員は不平不満をもらすのですが、むしろ、社員こそ勉強に不熱心である面が問題ではないでしょうか。

私は、あえて「広い世界を見ようとしなかったり、勉強しなかったりする人が多いからこそ、少し頑張ればすぐに他を抜くことができますよ」と挑発的にいっておきたいのです。

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