営業時代の経験を調達・購買業務に生かすバイヤー
私はバイヤーの前に、数年間営業をやっていた。今はバイヤーが天職か?と思うくらいに、バイヤー業にのめりこんでいるが、当時は営業がとっても面白かった。事実、バイヤーとして購買部門への異動を命ぜられたとき、何か言い知れぬ喪失感に苛まれ、営業時代には、終電で帰るか、飲みに行っていた生活が、バイヤーになった途端に、仕事に面白さが見いだせなくて、今日はゴルフの打ちっぱなし、明日はジムにプールと、毎晩定時に退社して、アフター5を満喫していた。
当時の手帳を見返して一番印象的な言葉は、
「営業とは、人殺しと物取り以外はすべてやる」
と、ちょっと過激な言葉だ。今だったら許されないな。これは、今も尊敬してやまない当時の上司から言われた言葉だが、今でも気持ち的には変わらない。なので、私はバイヤーとしても、何でもやろうと思っているし、やってきたつもりだ。
じゃぁ実際営業はどのようにやっていたか?といえば、ワガママな購買担当の皆様だったり、無茶苦茶な上司だったりからの非常識な指示に対応するので精一杯だったと思う。そんな中でも営業は楽しいし、面白い。是非これからも続けてゆきたいと思っていたのは、ちょっと過激な上司からの言葉に、自分の中では営業ってのは何をしてよい悪いでなく、その先にあるお客様に喜んでもらうためには?を考える事が尊くて、実際に考えるときにも、思いをめぐらすフィールドの限界というか、制限を取っ払ってくれたのが、人殺しと物取り以外・・・・・・っていう言葉だと思うのだ。
そんな風に思っても、実際の行動は本当にオーソドックスというか、普通だったなと思う。10年に満たない営業生活の中で、本当にとんでもない!事をしたのは数回。普通さがあるから、今でもその「とんでもない」場面は、鮮明に思い出すことができる。普段の普通があって生きる、たまのとんでもないこと、だったのだ。当時の私は、鞄持ちが精一杯で、自分でたまにとんでもない事を起こせるようになりたいと思っていたから、営業を続けたかったわけなのである。
そして今バイヤーとして、普段の普通を積み重ねて、たまの「とんでもないこと」を、どうやって起こすかを虎視眈々と狙っている。千載一遇のチャンスを逃さないために、日々普通なことを淡々と普通にやっているんだといえる。普通って尊いな。