出張は食が命
腹が痛い。きっと辛い料理と、白酒の影響だろう。もともとアルコールが余り強くない体に、あのウィスキーのストレートをはるかに超える透明な液体はかなり強く感じる。飲まなきゃ良いので、基本的には断る。が、どうしても断れなくなるシーンが必ずやってくる。で、飲んでしまうのだ。
過去には、ジャケットを着て、ネクタイを締め、靴を履いたまま倒れるように寝て、目覚めた経験もある。どうやってホテルの部屋に帰ったのか?は、余り記憶がない。最近ではあまりそういうことを強いられる事も少なくなったが、でも内陸へ行けばその辺はまだ健在だった。
胃腸には自信がある私も、今までの海外経験では、とんでもない状況に陥ったことが何度かある。一番の思い出は、ある街に2ヶ月ほど滞在することになっており、ちょうど半分が過ぎた頃だった。街に日本食のレストランがあるという。当時はまだ元気いっぱいで、現地の脂っこい料理も普通に食べていた私だったが、日本を離れて一ヶ月が経過していたこともあり、日本食の響きの魅力は大きかった。
実際言ってみると、メニューには丼物が写真入りで掲載されていた。カツ丼、天丼、親子丼・・・・・・それも味噌汁付♪である。ビールのつまみでオーダーした焼き餃子がとってもおいしくて、自ずといずれ来たる丼物への期待も高まった。
私は同僚2名と共に、天丼をオーダーした。人間正直なモノで、おいしいビールと、おいしい餃子がその場を明るくして、私の食事に対する警戒心を鈍らせていた。天丼が運ばれてくると、それは写真のモノとは似ても似つかない全くの別物と思えた。でも、適度なアルコールで活性化された胃袋は、食べて大丈夫?という警告を無視していた。今でも結構鮮明に思い出せる天丼、それは日本では天卵丼といったモノだろうか?小さなエビを炒めて、卵でとじ、だしつゆで味付けをしたものがご飯の上にのっていた。
今考えると、何とも言えない黄色だったなぁ~と思う。私は、その日の夜中に悪寒に襲われ、もうとにかく体調的には大変だった。腹痛ではない。食中毒ではないか?当然、私以外の同僚も翌日ダウン。私は三日間ほぼ何も口にできなかった。会社から支給された風邪薬と、腹痛と、胃腸薬を同時に飲んで何とか良くなっていた。
と、こんな事を書いていると、あぁ、あれも。そうだ、こんな事もあった、と色々なことが思い出される。食事は、五感で楽しむと言われるが、五感のいずれかが黄色や赤信号を灯したら、海外に限ってはその信号に従った方が良いと思っている。火が通っているから大丈夫もあてにならない、それが私の拙い海外経験で学んだ教訓である。