サプライヤをもうけさせるバイヤとは?

調達・購買部門で働く私たちは「売り手と買い手が対等」と頭でわかっていても、なかなか実感をもって行動できないときがありますね。社内の営業部門は、調達・購買部門がどんなムリを言ってもサプライヤは聞いて理解して実現してくれると思っている。大きな認識のギャップの元で仕事をしているなんて同僚の誰もわかってくれません。

 

2020年代は「サプライヤ優位」の時代です。ただしすべてのサプライヤではありません。サプライヤとして魅力的な製品やサービスを持続的に供給できるサプライヤほど、自社の優位性を認識し強調する営業を展開します。CSR調達やトレーサビリティ、製品・サービスの安全に必要な品質管理は、高度な技術や経験をもつ職人「だけ」では対処できません。業務プロセスを管理し、顧客に説明して納得を得る能力が求められます。勘と経験に裏打ちされた技術に加えて、QCD全般にシステマティックな業務管理が欠かせないのです。

 

そのような未来を生き抜くための対応ポイントは、Q(品質)D(納期)だけではなく、C(コスト)についても管理レベルがアップする点。しっかりとした社内管理体制を維持し事業の発展を目指し、しっかり利益確保する売価を設定するはずです。調達・購買部門は確かにサプライヤが「利益」を稼いでいる「現実」へ直視が必要です。購入品やサービスのトータルパフォーマンスをふまえて、価格に含まれる利益部分への着目が欠かせないのです。

 

自分たちが十分な利益を稼げないのだからサプライヤも同じでよいといった考えはNG。サプライヤには十分な利益が必要です。調達・購買部門が回避すべきは、サプライヤの一方的なボロもうけです。QCDを兼ね備えた、高度な管理レベルを実現するサプライヤから購入するとしましょう。サプライヤの管理レベルを見極め数値換算し、営業パーソンとコミュニケーションの中で、双方に最適な価格を導く交渉能力が欠かせません。恫喝や声の大きさではなく、論理的な理由付けと説得によって自分たちに少しでも優位な購入条件を提示し営業パーソンから「納得」を得る能力こそ、これから求められるバイヤスキルです。このスキルには「サプライヤにも利益が必要」の認識が必要。いうなれば、サプライヤにどの程度もうけてもらうか?をコントロールできるバイヤです。

 

「サプライヤにもうけてもらう」なんて少し違和感を覚える方もいらっしゃるでしょうね。もちろん適正利益です。ボロもうけではありません。適正利益かボロもうけかの見極めをするため、未来調達研究所ではさまざまな取り組みを行っています。一例を挙げれば、今週末の調達・購買「私塾」が開催されます。テーマは「担当品目知識と社内関連部門知識」。バイヤに必要な情報力~情報収集、共有、分析、活用の4ステップで学び、調達・購買業務に必要な情報ソースをこそっとお知らせします。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい