2020年代のあらたなQCD

先日開催した調達・購買「私塾」は、配属になったばかりのバイヤをイメージして、バイヤがサプライヤ選定を行う際の基準としてQCDを解説しました。言わずとしれたQ:品質、C:コスト、D:納期に、Q:量(Quantity)を加えました。

 

自然災害が起こらなくても「需要>供給」の構図は日常的に発生します。原因は多岐にわたり、増加しています。先週も米国最大の燃料パイプライン企業がサイバー攻撃を受け操業停止。不安を覚えた一般市民がガソリンスタンドに殺到する光景がテレビのニュース番組に流れました。供給継続の危ぶまれる要因が増加する中、調達・購買部門におけるバイヤ責務は安定供給へのニーズが高まるのではないかと考えたのです。

 

2020年代もQ:品質、C:コスト、D:納期は、サプライヤ選定時の判断基準であり続けるでしょう。そして時代の変遷とともに、Q:量のような新たに加わるべきQCDがあるのではないか考えてみました。

 

まずC:Carbon(炭素)です。Carbon dioxide emissions(二酸化炭素排出量)やカーボンニュートラル、脱炭素経営をテーマにしたニュースは連日報道されています。先日調達・購買「私塾」番外編で「坂口孝則が語る脱炭素調達の基礎編」を開催しました。CSR調達、持続可能な調達、そしてSDGs(持続可能な開発目標)で、事業運営にともなう炭素使用量の削減は重要度が増している課題です。調達・購買部門ではサプライヤによる排出量報告と管理が必要でしょう。二酸化炭素排出量がサプライヤ社内で掌握され報告されているか。削減計画が立案され、実績管理され成果が出ているか、サプライヤ評価基準に加わるのです。

 

そしてD:Data(データ)です。すでにインターネットを介したバイヤ企業とサプライヤ間のデータ授受は行われています。従来の発注数量や購入見通しに関してだけではなく、より多くの広範囲なデータ共有実現度合いがサプライヤ評価基準になります。現実化している人口減少社会の下では、より多くのデータが企業間で共有され効率的な業務運用が必要です。購入品のトレーサビリティ(追跡可能性)確保や、納期・工程管理における進捗状況の掌握、究極的にはサプライヤのコストデータも共有すれば、購入価格交渉からサプライヤ利益率交渉への転換によって交渉に要する時間を劇的な削減が期待できます。事実の掌握から下手な腹の探り合いを排除し、信頼関係によってデータ=事実が共有化されれば、最短時間で最適解を見いだす環境整備になるはずです。

 

新たなQCDは顧客ニーズと経営環境双方の変化による、調達・購買部門に必要な新たな視点です。新たな視点への対応には、調達・購買部門の責任やバイヤ業務の変化が欠かせません。未来調達研究所では、従来のセオリーに加えた経営や調達・購買トレンドをふまえたみなさまの「変化」の取り組みへサポートを行っています。さまざまなテーマのブックレットを無料で配布しています。すべて無料でリスクありません。まだお読みになっていない方はぜひ!

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