バイヤーの手のひら返しに気をつけろ

バイヤーとは、価格決定が大きな仕事になるんだけれども、正直に言えば自分で決めているという実感をもてるケースは極めて少ない。そういう意味では、価格は決められているケースが多いと思う。

例えばの仕事の減少によって、従来では考えられなかった見積を入手することができるようになったとしよう。製品の確保に重点を置けば、価格の妥当性をないがしろになるかもしれない。モノやサービスの確保と御旗にしてきたバイヤーは大きく反省をしなければならない。しかし、バイヤーとしてどうしても欲しいものが各社競って「欲しい!」となったら、これは売り手優位とならざるを得ない。そりゃ、これまでの取引の実績やら、将来的な仕事、最後にはパートナーシップを持ち出して、なんとか自社に有利な交渉を!と思う。しかし、実際 需要>供給となった場合、価格決定の主導権を買う側が保持することは極めて難しい。

そうは言っても、やっぱりそんな時は、バイヤーとして「現在」の価格では買えないわけで、「過去」と「未来」のビジネスを語り、なんとか売り手を懐柔しようと試みるのである。厳しい状況からの変化は必ず訪れる。

会社でバイヤーをやっていれば、
「材料費が下がっているから、資材費は下がるよね?」
「仕事がないんだから、サプライヤーをたたいて、安い金額で」
なんて、変化に対応して言われる。でもバイヤーとして言ったことが、まさに問われる事態だ。

需要>供給で、サプライヤーをパートナーに仕立てあげ、需要<供給となったら手のひらを返したように「たたく」とは、何とも浅はかだと思うのだ。本当に自社にとって必要な相手とは、この時期だからこそ、仕事が減っている中で、どのように売り上げを、損益を、雇用を確保すべきか?を真のパートナーとして語り合うべきだろう。

そして、バイヤーの置かれた現在の環境は非常に厳しいはずだ。中には煮え湯を飲まされ、のたうち回った経験を持っているバイヤーもいるであろう。しかし、煮え湯を飲まされた相手だとしても、真摯に謙虚に相手を評価すべきだと思う。一回は。自社にとっての本当のパートナーといえる相手はどうか?ここ数年の対応から判断して再度判断すべきである。バイヤーだって、俗世間の変動から解き放たれることはない。需要と供給の状況変化に応じて、将来の変化に対応したアクションを行うべきだと思う。手持ちの仕事があるからと言って、サプライヤーをたたくのでなく、手を握り会う相手と、たたきのめす相手を見極める、そういったシビアな決断をすべきときと思うのだ。こう考えると、景気が悪くなっても決して喜んでラクに仕事ができるとはとても思えないのである。

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