調達・購買業務はなぜ難しいか?

それは調達・購買業務を理解していない人の中で仕事をしているからである

 

調達・購買部門は、企業を代表して社内では準備できないリソースを外部企業より購入するのが仕事である。一般的には、より安く買うことが求められる。しかし安さだけを追求する購入なら、さほど難しい仕事ではない。品質や納期、サプライヤの客先対応といった価格以外の購入条件を犠牲にすれば実現できる。調達・購買部門では価格以外の条件をかなえつつ安く買うことが難しいのである。

 

こういった調達・購買の道理が多くの企業で通じない。価格を安い抑えたいなら、納入や品質にまつわる条件を抑えてほしい、なんて主張すると「つべこべいわずに安く買ってくるのがお前の役割だ」なんて言われたりする。価格を決める条件が、品質にしても納期にしても固定化していたら安く買うのは難しくなる。

 

調達・購買業務の難しさは、日常的な買い物の中発生している「購入条件によって価格が上下する論理」を忘れてしまっている点にある。調達・購買の現場では購入条件が一律に設定されている。サプライヤごとに購入条件をせっていすれば非効率になるため「一律」の購入条件設定であることに意義はある。しかし購買の現場で一律に設定された購入条件はデメリットへ変貌する可能性を忘れてはならない。

 

多くの企業では、×月×日といった形で納入日が指定される。企業によっては納入日に加えて納入時間まで指定される場合もある。購入したい対象が十分に在庫されていれば、納期に間に合うように発送すればよい。しかし「在庫は悪」といった考え方が一般化し、サプライヤもできるだけ在庫を持たず、出荷のタイミングに完成するようなスケジュールを構築している。何か1つでも問題が発生すると、納期が守れない。そして「問題」はサプライヤだけで発生するわけではない。発注側に問題があるケースもある。仕様が決まらないとか、正式な注文書の発行が遅れたとか、そんな理由も納期に影響する

 

だからバイヤーは、まず社内に対して躊躇(ちゅうちょ)なく発信し、不平不満はあっても聞く耳をもってもらい、社内一丸となって「どうしようか」と考えられる環境構築が欠かせない。どんな調達・購買部門でもすばらしいバイヤー第一の条件は、他部門と対等に話ができるかどうかだ。バイヤー的には、話を聞いてもらえる社内他部門の同僚がどのくらいの人数いるかとか、組織的には調達・購買部門主催の会議に出席してくれるかどうかが、話ができるかどうかのバロメーターになる。話をする場では、購入条件が厳しすぎて「できない」話も重要。でもそんな話ばかりだと聞く側も疲れてしまうし、誰もが耳の痛い話は聞きたくない。だから100%希望には添えないけど、ここまでサプライヤから善処を引き出したとか、こうすれば価格が予算通りになるといった具体的な提案、検討し話し合いが成立するネタを提供できるかどうかがポイントになる、そう考えている。バイヤは、社内関連部門への情報発信が重要なのである。

 

だから、調達・購買部門のバイヤは、社内関連部門への情報発信が重要なのである。

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