あらたな三現主義実践方法を模索するチャンスです
以前一緒に仕事をしていた人から電話をもらいました。テーマはあるお客さまの対応について。「どう思います?おかしいでしょ?」と、かなり憤慨されていました。
話の内容は、10年以上継続した納入実績がある中国工場の製品について。こういった状況なので、出荷検査を文書と写真の確認で済ませられないかとお願いしても聞き入れてくれない。最近中国国内の経済的な活動が戻ってきたり、武漢の封鎖が解かれたりといった報道で、対応可能ではないかとお客さまが主張しているそうです。問題なのは現地工場への同行を強く申し入れてきている点です。
外出自粛が続く中、何とか過去と同じ成果を出そうと多くのビジネスパーソンが試行錯誤しています。そんな中、品質確認を目的とした立ち会い検査は、新たな方法を確立しなければならない重要なテーマです。新型コロナウィルス流行が収束すれば、以前と同じ対応も可能でしょう。しかし今の時期に現地同行を申し入れるのは、かなりムリがあります。
そもそも工場所在地至近の空港までの航空便は欠航しています。近隣(といっても1000キロ以上あります)運行している場合も、飽くまでも自国民の移動手段の確保が目的であり、外国人は入境が禁止されています。その事実を伝えた上で、現地訪問とまったく同じ検査をWebですべて中継してやったらどうかと提案しました。まるまる1日を費やしてまったく同じ内容を行うなら、相手も納得するのではないかと伝えました。私は提案しつつ効率的な手段ではないなと思ってました。でも、Web中継による検査の実施もコロナ流行前と比較すれば変化の許容になりますしね。文書と写真よりは変化度合が少ないと考えました。
電話の相手も、釈然としないながらも「お客さまへ伝えてみる」と電話を切りました。たしかに実際に現場を訪問する取り組みは、三現主義(現場、現物、現実)を実現する方法として重要性は変わっていません。でもこのタイミングは「現場、現物」よりも、未知の感染症が流行して、感染する可能性が高い「現実」の優先順位を高めるべきですよね。その上で私たちにはできることを模索する必要があると考えました。
そして後日談…現地訪問とまったく同じスケジュールのWebによる立会検査を提案したところ、顧客企業側のサーバー負荷集中に対処して動画使用が規制、丸一日はムリでありもっと効率的方法を提案してほしいとの連絡があったとのこと。私も一緒にあきれ、かつ何か代替え手段はないかと頭を悩ませています。