コストテーブル「人間の命」編

バイヤーにとって非常に面白い本がありました。
その名も「命の値段」です。身も蓋もないタイトルです。しかし、興味深い。
人の命にもコストテーブルは存在しています。
かつて「ルイヴィトンと岩波新書は等価だ」というラディカルな発言をしたのは前長野県知事の田中のやっちゃんでした。が、もうそれ以前に世の中の全てを金銭価値に変換するという試みはなされていたのですね。
著者は交通死亡事故を中心に、「一体、あなたが、家族が死んだら、補償金はいくらになるのか」ということを書いています。タイトルもですが、内容も身も蓋もありません。
痛快なほど命の値段が算出されてゆきます。おそらく、この本を読みながら夫(妻)の死亡時の金銭価値をはじいた人が日本で100人はいるでしょう。いや、その100倍かな。
高卒と大卒の死亡時の差、医者とフリーターの差も明確に書かれてゆきます。「格差格差」と叫ぶ最近の論説よりも、我々が欲しているのはこのような「露骨な」数値なのですよね。
モノの価値を査定するときに機械的にできればいい。だけど、人間の価値となると、どこか自身の倫理観が邪魔してしまうときがあります。しかし、現実は人間を査定する明確な基準が確固として存在している。「それは許されない!」と叫んだってしかたがありません。代替として出される案も、ある基準を持たねばならないのですから。
死と人生と査定手法について深く考えさせられる本です。

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