現場を知らないバイヤーたち

 おそらく、現在のバイヤーの問題は、設計と距離があることでも、営業と距離があることでもなく、製造現場と距離があることだと思います。

 

 はたして、自分の購入しているものの工程を完全に語れるバイヤーがどれほどいるのでしょうか?

 

 あるいは現場に行ったとしても、「1時間あたりどれくらいつくれるのですか?」とか「不良率は?」ということを聞くのがせいぜいです。

 

 バイヤーによっては開き直って、「いやぁ、工程とかそういうことは品質管理部隊マターだから」と言ってしまう人もいます。

 

 

 それでよいのでしょうか。

 

 

 否、です。

 

 

 そこを指して、私は「現在のバイヤーの問題は、設計と距離があることでも、営業と距離があることでもなく、製造現場と距離があることだ」と言いました。

 

 

 単純な話なのだと思います。

 

 

 これが一体どうやってできているのか?

 

 メーカー見積もりの比較でなく、この物自体がいくらでできるのだろう?

 

 

 という単純な疑問を持つだけでバイヤーの能力は向上するのだと思います。

 

 

 そして、難しく考える必要はどれだけあるのでしょうか。

 

 

 おそらく、購買の問題は、現場の表面しか見ることができていないことだと思います。

 

 

 工場の上層部に上がってくるデータだけ見ても、何をいうことができるというのでしょうか。

 

 不良率や、その他のマシンタクトなどは、メールのやりとりで知ることができます。

 

 

 それより重要なのは現場のオヤジが何を困っているか、ということを聞くことではないでしょうか。

 

 

 もっといえば、現場のオヤジから困ったことを聞き周るだけで、その企業のコストダウンの施策は出し尽くすことができます

 

 

 何がこの製品をつくるにあたって面倒か。困っているか。大変か。
そして、それを解決するためにはどうすればよいか。

 

 

 それを聞けばいいだけです。

 

 

 営業マンから聞くことはできません。なぜならば営業マンは製造現場にいないからです。

 

 そして、現場の声を聞くこと、この点のみで「現場に行く価値があるのだ」と極論したくなるのです。

 

 

 そしてこれには全く特殊技能は必要ありません。ゼロです。

 

 

 IT調達を前提とせねばならない現在、「現場」というドロドロしいところにどのように関わっていくべきか。

 

 この再考の時期にきていることは間違いありません。

 

 

 少なくとも、メールばかりで「現場を知らないバイヤー」である私たちは急務なのです。

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