帰ってきた池田史子の参謀日記50
いま未来調達研究所でアシスタントというか、サポートというか、さまざまな仕事をしています。
たまに雑誌のインタビューが弊社で行われます。たまに隣で見ているのですが、坂口さんが面白いことをいいます。記者のひとは困ったようにしています。
「今回の本でもっとも力をいれたところはどこですか」
「キーボードのエンターキーです」
というのはなかなか面白いと思いましたが、記者のひとには伝わっていませんでした。もっと笑ったのは次のやりとりです。
「この本を一言でいうと、どういうことが書かれてますか」
「一言でまとめられないから本にしました」
「どんなひとに読んでもらいたいですか」
「そういう質問をしない人のための本です」
後者は、「対象など規定せず、どんな知識であっても自分の身になる」という意味だったようですが、インタビューするほうがびっくりしていました。本人は笑っていましたが……。ただ、柔軟なところもあり、かならず記事にしやすいような内容を話しています。
たとえば某社の材料試験改ざん事件で、弊社に取材申し込みが多数ありました。それもたぶん、このひとに聞いたら記事にしやすい、と思うからじゃないでしょうか。
あるときセミナーの帰りだったと思いますが、「これから八重洲ブックセンターに行く」というので、「疲れているから帰宅したらどうですか」というと、「凡人は努力しなければダメだ」といわれました。もちろん、自分のことを凡人だといったと思いますが、私のことを凡人といわれた気がして、なんだかイヤでした。
いつか言い返してやろうと思って、ある日、坂口さんが「ああ、これも勉強しなきゃ」といっていたので、「そうですね、凡人は努力しなきゃね」と伝えました。怒るかな、と思ったら、「そうそう、才能もないし、勉強しなきゃね」といっていました。
それで終われば美談なのですが、そのあとに「俺が良いのは性格だけだよ」というので、やはりこのひとは問題があると思いました。