3章・(7)-1 時間差を利用して「金利」を稼ぐ方法=ポイント制
キーワード「ポイント制」「利子率」「運用」「使い忘れ」
・ポイント制のカラクリ
ポイント制を導入すれば売上げが伸びる店が多いそうです。1万円分の家電を購入したら500ポイント。最近では、販売価格の10%もポイントがつく店もあります。次回の買い物のときに使えばオトクです。ただ、ポイント制とはお客がトクするだけの制度なのでしょうか。実はポイント制にはいくつかのカラクリが存在しています。
ここで思い出していただきたいのは、「お金は動的なもので、増え続けていく」ということです。では、ポイントはどうでしょうか。100ポイントは、カードのなかにずっと100ポイントのまま記録されているだけです。100円と100ポイントは、時間の経過によって利率分の差が生じることになります。たとえば、利子率が5%と仮定しましょう。
- 100円の場合……1年後:105円、2年後:110円、3年後:116円
- 100ポイントの場合……1年後:100ポイント、2年後:100ポイント、3年後:100ポイント
もし1円=1ポイントとするならば、3年後には16円もの差がつくことになります。これは、ポイントを貯め続けていれば、お金の運用権を店に奪われているということです。もし現金として保有していれば、3年後に16円も増やすことができたはずなのに、その利得の機会をみすみす失っていることになります。
もちろん、ポイントを3年間もまったく使わないということは少ないかもしれません。また、利子率5%で運用できるかも別の話です。ただ、この裏を返せば、消費者としては「ポイントは貯めずに、すぐに使い切るほうが正しい」という結論が導かれます。その逆も店側からすれば正で、「しばらくポイントが使われない。もしくは、ポイントを使い忘れておいてくれる」ということが最も望ましいことです。