5章-31:仕組み・組織体制

さて、図で表示した「機能別組織」「事業部制組織」「マトリクス組織」に加え、「調達内タテヨコ組織」を採用した際の、調達・購買部門観点からのメリットとデメリットをまとめておきます。

  • 機能別組織(横断型)
    メリット:統一した調達戦略が構築でき、統率もしやすい
    デメリット:事業ごとの特徴を出した調達業務遂行が難しくなる
  • 事業部制組織(各拠点型)
    メリット:各事業の状況や将来戦略を加味した調達業務遂行が可能
    デメリット:おなじ調達部門であっても横の連携が希薄となりがち
  • マトリクス組織
    メリット:横断的に業務遂行ができるためスピードがあがり、自由度が高まる
    デメリット:事業、調達双方の承認が必要となり、ときに二者間で矛盾する場合がある。また責任が曖昧になる場合もある
  • 調達内タテヨコ組織
    メリット:品種軸と製品軸をみる担当者が存在することで、ミクロ・マクロの両方から調達戦略を構築できる
    デメリット:製品軸で構築した戦略といっても、それぞれの品種までブレイクダウンできない場合があり、製品軸を見る担当者の意義がなくなる可能性がある

なお、どの組織をとっても重要なのは、官僚型であることです。官僚とは悪しきイメージがあります。しかし、業務を効率的に進めるにあたって有効な仕組みです。官僚型とは、業務遂行のルールが明確に定められていることと、その例外は基本的に認めない杓子定規な組織です。また、過程をしっかりと記録し、あとから意思決定の検証ができること。

とはいっても、ルールの解釈によっては、どちらでも捉えられる場合があります。そのときに上司の登場です。上司は、それまでの経験やら会社理念から、どうすべきかを判断します。その上司すら判断のつかない内容は、さらに上の上司が判断します。

この機能が重要です。部下は「この判断で迷っています。私としては、こう思います。これで合っているでしょうか」と上司に材料を与える必要はあります。サイコロを降って決めてくれ、と上司に依頼するわけにはいきません。

しかし同時に、上司もあまりに細かい情報をひたすら集めるように部下に再依頼するのも感心しません。というのも、情報をいくら集めても、部下が困っているのは、それを超越したところで自分の知らない判断基準を教えてくださいといっているのですから。

そして決断を下す、ということは責任をもつということです。いや、もっといえば、責任をもつために上司という存在がいるのではないでしょうか。失敗時に、部下に責任を押し付けるだけで、あたかも自分に責任がないかのように語る上司は、死ぬか、せめて現職を辞めたほうがいいと私は思います。

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