5章-6:仕組み・組織体制
コスト削減基準のあれこれ
なお、一般的にコスト削減基準としては、次のものがあります。
- 新規工事予算達成度:これがインフラ系企業でもっとも理解しやすいでしょう。それぞれの工事案件で目標とした予算基準にたいして、達成した度合いのことです。
計算式例:(目標予算-実際予算)/目標予算
なお、当指標は、かならずしも、調達施策だけではありません。現業部門のがんばりで、施工上の低減工夫もあります。その施工上の工夫を除したうえで、純粋に調達・購買部門の低減額を計算する場合もあります。
- コスト削減額(Cost reduction):これは、物品の場合、前期単価と今期単価の差額を累計して計算するものです。また、工事等の場合は、前記にくらべて、安価に施工できた金額を計算します。
計算式 : (前期施工単価-今期施工単価) * 購入量
また、市場価格との差異を計算する場合もあります。 - コストアップ回避額(Cost avoidance):これは調達・購買担当者が何らかのアクションを起こした結果として、達成したコストアップの回避額です。たとえば、原材料価格を交渉で抑制した場合などです。労務費の場合は、買い叩きになっていない前提で、値上げ申請分とくらべて、適正な価格にいたった場合、それを評価することです。
計算式例: (取引先からの値上げ申請額-調達担当者による交渉後価格)* 購入量
ここまで書いていてなんですが、とはいえ、もっとも使われている基準値は、初回の見積価格です。それは採用がたやすい基準だからです。私はこれを批判しません。ただ、少なくともいえるのは、その基準値をもつ際に、取引先からしても「最初は高めに出しておこう」と思いがちになるし、調達・購買担当者からしても「最初は高めに出してもらおう」と思ってしまいがちになる点です。
もちろん、それを自覚したうえで、調達・購買部門の評価をあげるための意図的な戦略、ということであれば、私は申し上げることはありません。