3章-33:コスト削減
5.試験・実行:ここまででVE案が決まったら、あとは費用対効果をふたたび検証し、試験を実施、さらに調達品への応用が考えられます。そして、そもそも予定していたVE効果額が見込めそうかを検証します。同時に、VEが案を進める際には、顧客要件を外さないことが前提です。このタイミングでは、しっかりと顧客意向も念のために確認する必要があります。
VEの確度計算
また、これらVEを一覧表にして管理し、実行までのスケジュールを立てると、見える化もできます。その際に注意せねばならないのは、ほとんど実現可能性がないVE案と、おそらく採用できるVE案が、フラットに並んでしまうことです。
そこで、使えるのが、確度です。これは、そのVE案を採用できる確立の度合いです。
よって、これまでVE内容とVE効果額を記載していただけであれば、ここに確度を入れて計算することで、見込みをより正確に把握できます。つまり、たとえば、現場の足場についてVE案を考えたとき、たとえば梯子の材質を変えるとします。効果額は年間10万円ほど出そうです。しかし、安全管理上、採用するのは難しく30%くらいか、とするときには、次のようになります。
(VE効果額)×(確度)=10万円×30%=3万円
そして、この3万円にあたる、確度込みのVE効果額効果額を加算していって、その金額が目標VE額に到達しているかを確認せねばなりません。
なお、この確度ですが、私は厳し目に想定しておくことを勧めます。取らぬ狸の皮算用にならないようにするためですが、もう一つは、できるだけVE案を多く出すためです。現場が採用できないようなVE案を出して、それではいおしまい、と子どものままごとのような仕事を重ねる担当者が多くいます。代案の代案を考えることが大切です。
また、可能であれば、その確度も、あるていどの基準をもっておきましょう。あくまでも一例ですが、次のような尺度が考えられます。
- 確度90%:仕様・機能が変わらない(たとえば梱包材変更など)
- 確度50%:仕様・機能が変わらないが内部試験が必要
- 確度30%:客先承認が必要(外見は変更せず)
- 確度10%:客先承認が必要(外見は変更あり)
といったものです。これで濃淡をつけて管理しておけば、恣意的な点数づけにはならないはずです。