6-(4)-1 バイヤースキル

・バイヤーは何を学習するべきなのか

スキルの話をするとき、それらを習得する目標を設定するところから始める必要があります。まず、定性的な目標があり、それを具現化するために各種スキルの習得目標を設定しましょう。

私は非論理的なこと、非科学的なことはほとんど信じません。報道されていることも、たいていは疑ってかかります。以前2000年頃になると、「原油が枯渇する」「南極の氷が溶け出し地球が水浸しになる」と言われました。しかし、現実は? 前者は代替エネルギーが開発されるはずであり、採掘効率も上がることは容易に想像できます。後者はコップに浮かんだ氷が溶けたからといって水が溢れ出さないことを知っていれば騒ぐことではありません(環境破壊をしても良いと言いたいわけではない)。

しかし、こういう性格でも信じていることがあります。それは、「目標を設定し、紙に書いておくと自然に実現する」ということです。なんだかオカルトみたいしょう。だから、言いたくなかったのです。でも、本当のことだから仕方がない。

バイヤーのスキルと言うとき、その詳細な項目ばかりが列記されている書籍を見ると、どこか違和感を抱いてきました。そのスキルは結局のところ何のために使われるのか。目的がなくスキル取得ばかりを目指すことは、資格オタクや勉強オタクと何が異なるのか。そういう疑問でした。

バイヤーとして目の前の業務を超えて何をしたいのか。どういう自分を創り上げたいのか。他者にはどういう影響を与えたいのか。青臭く、道徳や宗教っぽくていやなのですが、こういう目的を持たないままスキルだけを習得しようとすることは大変危険ではないか、とすら感じます。

「海外を飛び回るバイヤーになる」と書いた瞬間に、その後するべきことは自動的に決定します。それをするために必要なスキルも一瞬で分かるでしょう。さらにそのスキルを習得するために明日からしなければいけないこともはっきりしてきます。まずは海外調達を専門でやっている部署へ異動できるように手を挙げなければいけない。知り合いの課長経由で話を聞かせてもらいに行こうか。アピールするためには英語が話せなければいけない。輸入の基本も学ばなければいけない。そのためには明日参考書を買って、社内の英会話教室にも手続きして……。と無意識に動けます。

これは自分の目標を紙に記したときに起きる変化です。そして、それを定期的に(できれば手帳などに貼って)見返せば効果抜群でしょう。日々やっていることが、自分の目標と照らし合わせて認識することができます。また、それまで興味もなかったことに、突然興味が沸くこともあるはずです。世の中では「意識革命」なんていうことが叫ばれたことがありましたが、「無意識革命」の方がずっと重要なのです、本当は。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

あわせて読みたい