4-(4)-3 サプライヤーと報酬制度
<雑感>
サプライヤー評価結果を伝えたときのことです。私が「御社はとてもコスト領域で協力していただけたので、感謝賞を授与したいと思っているんです」と営業マンに伝えると、「止めてください!そんなの。なんだか、私が安く売りすぎているみたいで、社内から怒られちゃいますよ」と猛反対にあったことがあります。
確かに、営業マンの目的は売上増と利益拡大ですから、バイヤーから「いつも安くてありがと」と言われることは、皮肉としては成立しえても、心から嬉しく受け取ることはできないのかもしれません。とはいえ、一度決めたことですし、コスト領域でお世話になっていることは事実なので、そのまま押し切ってそのサプライヤーに賞を渡すことにしました。
その後の授与式で、サプライヤーの社長と話したとき、「こんな賞なんて要らねえよ」と思われているのかと内心ビクビクしていたところ、意外な言葉が飛び出してきました。「この賞は嬉しいねえ。だって、例えば他社がどう頑張っても100円にしかできなかったところを、80円で提供できているんでしょう。それは、私たちの努力と技術の賜物だよね。それだけ社会に貢献できているんだから、胸を張らなきゃね」と。
安さ、とはもちろん唯一の判断尺度ではありません。しかし、安さとは社会貢献の大きな一つのファクターです。むしろ、サプライヤーの社長から教えられるなんて、やっぱり世の中は興味深い解釈であふれていますね。