6章2-2<セクション1~社会の一員としての調達活動>

・下請代金遅延等防止法

ところで、守るべき法令のなかでも、解説をあえて加えるべきは、やはり下請代金遅延等防止法でしょう。調達・購買部門とって最も関連性の深い法規は、下請代金遅延等防止法(通称下請法)です。バイヤー企業が発注企業(親事業者)として、受注企業(下請企業)に対する義務と、禁止行為を規定しています。

 

<親事業者に対する四つの義務>
(1) 書面の交付義務(第3条)
注文時には、発注の都度書面(発注書)を交付しなければならない
(2) 書類の作成・保存義務(第5条〉
上記(1)に規定された交付書面は、2年間保存しなければならない
(3) 下請代金の支払期日を定める義務(第2条の2)
下請代金は、原則として受領日から60日以内に支払わなければならない
(4) 遅延利息の支払義務(第4条の2)
支払い遅延が生じた場合は、受領後60日を経過した日から支払いをする日までの期間に発生する年率14.6%の利息をつけて支払わなければならない

 

これは、調達・購買部門のみならず、企業全体に課される義務です。例えば、購入要求部門の口頭による発注で製品を受領し、注文書が交付されていない場合も親事業者としての義務を果たしておらず、下請法違反となります。下請法は、調達・購買部門で順守はもちろん、社内各部門での順守状況の管理も調達・購買部門の役割です。

この法律は、公正取引委員会が各地域で有料・無料さまざまな講習会を毎年開催しています。下請法、特に親事業者に課せられた上記四つの義務を果たすためには、全社的な対応が必要です。全社的に正しく対処するためには、まず調達・購買部門が下請法を正しく認識して、社内へ周知する機能を持つべきです。

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