4章-4-5<セクション3~②教育される側の育成から、教育する側を育成する必要性~人事との連携>

・人事部との連携

ところで、その人材の育成について、人事部との連携について説明します。調達・購買部門に限らず、企業のもっとも重要なリソースは人材です。重要な責務を実践するために、スキルと適性を兼ね備えた人材確保と育成がなによりも優先されなければなりません。社内他部門と同じく、難しい課題が次々と到来する中で、さまざまな課題に対処できる最強の調達・購買人員を創るためには、人事部との協業は不可欠です。

いまから世界がどうなっていくかはわかりません。特定のスキルが重要と思っていても、それが完全に機械化され、人員スキルとしては不要になるかもしれません。これまで書いたことと矛盾するようですが、これからの時代において必要なのは、「とりあえずなんでも挑戦する」ことと「その失敗の積み重ねのなかから、失敗経験こそを最大の参入障壁にする」意気込みではないでしょうか。

とするならば、人事部が人材の面接や採用を行っている企業が多い以上、明確に理想とする調達担当者像を伝える必要があります。さきほど、「とりあえずなんでも挑戦する」ことと「その失敗の積み重ねのなかから、失敗経験こそを最大の参入障壁にする」意気込みとあげました。それを「新しさに興味を持てること」と言い換えるならば、それにくわえて、新卒採用、中途採用に関係なく、次の三つのポイントをあげてよいでしょう。

1.新しさに興味を持てること

2.他人とのコミュニケーションが苦にならないこと

3.バランス感覚に長けている人

この三つは、調達・購買部門のみならず、他の部門でも必要となるポイントです。現在の調達・購買部門は、業務のポイントが、従来の注文書発行に関連するプロセスよりも、前段階へと移行しています。前段階とは、購入仕様を決定する段階であり、サプライヤの製品やサービスを供給できるかどうかを判断するといった段階です。

さらには活躍の舞台は海外にも広がっています。このような変化を人事部門にも伝えて、採用活動や人員の異動・配属の決定に反映しましょう。

また、人材教育においても、全社的な人事部の教育計画とクロスチェックを行い、調達・購買部門内の教育のプログラムを策定します。部門内教育のプログラムは、人事部門にアドバイスを求めつつ決定します。

外部のリソースによる教育も活用します。コストダウン手法といった内容だけでなく、サプライヤとの良好な関係構築方法や、開発購買の実践といった新しい手法を教えるプログラムも多数存在します。コストダウン手法は調達・購買部門にとって重要な課題です。しかし、他のスキルや手法も重要性が増しています。情報収集を十分に行って、人事部門へ外部教育の導入を提案しましょう。

とくに本節のテーマである海外生産拠点での教育・指導や、グローバル人材の育成については、多くの外部セミナーが開催されています。

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