2章-2-4<セクション1~概要編『物流の基礎知識』>
・近代物流と調達・購買部門
近年では新興国からの調達も増加し、従来よりもサプライチェーンが距離的に長くなっています。また、ジャストインタイム(JIT)方式によって、納入ロットも小口化され、時間単位での納期管理もめずらしくありません。そのような厳しくなった納入条件への対応は、さまざまな物流機能の複合的な活用が必要です。たとえば、輸送を、陸上、海上、航空それぞれ一つでおこなうのでなく、組み合わせて、より安く、より早い輸送を実現できます。
また、輸送を基点にして、輸送に耐える梱包を依頼したり、生産に適したロットと、納入ロットに差がある場合は、一括して倉庫へ出荷し、そこから顧客へ分けて納入したりといった物流機能の活用も可能です。
調達担当者は調達物流だけでなく、調達・購買部門以外の部門が関わる、生産、製品、リバースといったあらゆる輸送に関するQCDを確保しなければなりません。そのためには、今どんな輸送サービスが存在するかといった情報収集が必要です。輸送業者は、輸送手段や、海外であれば地域によって特徴をもっています。自社の物流に必要なリソースを理解して、最適なQCDを実現する物流業者の選定が必要です。
・調達・購買部門にかかわる物流コスト
われわれの生活はこのあらゆる物流に支えられています。そして、この物流をコストミニマイズという観点で見るとき、やや矛盾するようですが、一番重要なことは「運ばない・動かさない」ことです。たとえば、ある生産工程においてもIE(インダストリアルエンジニアリング)による効率化で、物を手にとる動きを最低限にする工程レイアウトを考えます。これも広義の物流改善といえます。今回のお話での「物流」とは、サプライヤから自社へ購買した物を届けてもらうことだけではありません。調達担当者として目にするありとあらゆる「運び」を対象にします。
物流とは、サプライチェーンにとって書くことのできない一要素であると同時に、非常に広範囲をカバーしています。それぞれの物流で、梱包、荷役、輸送、そして状況によっては保管が発生します。各々の機能分類の課程でコストが発生していることはいうまでもありません。この多様に発生している物流を、効率的におこなうか否かで、トータルコストに大きな影響を与えることは、容易にご想像いただけるはずです。
そこで考えるべきは、物流にともなって発生する費用の最小化です。ここからはほんらいの物流の定義とは異なるものの、調達担当者として必要なカテゴリーに意訳して考えましょう。それは、物流の周辺領域を包含するものです。何かのモノを運ぶわけですから、そこには発注も関わりますし、モノが入ってきたあとの在庫管理も関係します。いわば、調達担当者として考えるべきは、次の四つを考えることです。
- いかに良品を確保するか
- いかに効率的に発注をおこなうか
- いかに効率的にモノを運ぶか
- いかに効率的にモノの納期調整をおこなうか
- いかに在庫コストを正しく把握するか
通常は、「いかに良品を確保するか」は物流にいれません。しかし私たちは調達・購買部門にいるものですから、不良品を運ぶわけにはいきませんよね。ですので、ここでは品質管理の点もふくめて説明していきます。