6.価格の決定方法とコストテーブル 6-1見積依頼の方法 ~依頼する前にやるべきこと
見積依頼は、調達購買部門の業務で基点となるもっとも重要な仕事です。見積依頼方法によって、見積内容は大きく影響を受けます。バイヤーに有利な見積書を取得するための準備を学びます。
☆見積依頼でやってはいけないこと
サプライヤーに見積依頼を行う際、次の2つの方法は避けます。
(1) 口頭での見積依頼
口頭による見積依頼は、依頼内容通りの見積が提示されているかどうか確認ができません。あやふやな見積依頼内容では、サプライヤーに有利な見積が交渉の基点となり、自社に有利な条件の獲得に多大な労力が必要です。
(2) 図面や仕様書だけを送る見積依頼
図面や仕様書を送れば依頼内容は明確かもしれません。しかし購入の実現にはさまざまな条件設定が必要です。条件が不明確な部分はリスクとして金額に上積みされているか、サプライヤーの標準条件で見積されています。いずれの状況も、バイヤー企業にとっては不利な可能性が高く、発注条件に悪影響を与えるリスクです。
☆見積依頼前の確認
見積依頼はバイヤーにとって新たな仕事の始まりです。見積依頼に必要な情報をすべてそろえ、リスクの最小化を目指すバイヤーに有利な見積依頼を行います。
すべての条件がそろうまでバイヤー企業側で時間を多く費やした結果、サプライヤーに短時間で見積提出を強いることは避けます。十分な検討時間がなく提示された見積も、多くのリスクが存在しリスクは価格に転嫁されます。したがって繰り返し見積依頼を行うサプライヤーには、定型化できる条件はあらかじめサプライヤーへ提示します。あるいは提示していない条件の存在を明確にします。不明確な部分は後日追加情報として提示しましょう。見積条件があやふやでは、サプライヤーは最悪の条件を想定したコストを積算します。最終的にリスクは見積金額にプラスされます。短時間の見積依頼は、バイヤー企業にとってデメリット化する事実を、調達購買部門として重く受け止めましょう。(牧野直哉)